歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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三月をふりかえり… 2017年

早いもので今日で三月も終わり…

 

今月は歌舞伎座で三月大歌舞伎

国立劇場では伊賀越道中双六

そして俳優祭、とめまぐるしいひと月でありました!

 

今月は特別に私の歌舞伎ファン歴最大の贅沢をしてしまいました。

それは、昼の部・夜の部ともに一等席の花道横で見る…というものです(n´v`n)

 

仁左衛門さんの「渡海屋・大物浦」がある昼の部ならまだしも、

仁左衛門さんは10分ほどしかご出演していない夜の部までも一等席にするというのは、

薄給の自分にとっては勇気のいる決断でありましたo(>_<)o

 

ではなぜ踏み切ったかと申しますと、やはり「助六由縁江戸桜」の出端をしっかりと見てみたいという思いからです。

江戸っ子の端くれとして、自分の生まれ育った場所の文化・美意識の結集である「助六」の世界に浸りたい、

助六らしい、お若い美しさを讃えている今の海老蔵さんのものを堪能したい、と思ったのであります。

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幕が開くと目の前に広がる吉原仲ノ町の景色…

花横のかぶりつきでしたのでお芝居の世界以外のものは視界に入ってきません。

そのため金棒引きのジャン、ジャン、ジャララララランという音を聞いた瞬間、

まるで江戸時代にタイムスリップしてしまったかのような錯覚に陥りました(°_°)

 

間近で見る揚巻の目が眩んでしまいそうな華やかさや、意休さんの存在感に圧倒されているうち、

いよいよ助六さんの登場…!

揚幕の音がして、花道の付け根に蛇の目の傘が見えたときは鳥肌がたちました。

 

助六さんが七三にやってくると、なにやらお香のようなとってもいい香りがしてきました…(n´v`n)

ひとつひとつの形を決めるたび、

海老蔵さんの口から「フン…」「フー…」と唸り声が漏れ聞こえて、

下駄で花道をふみ鳴らす振動が体に響きます!

 

お顔立ちから姿から非の打ち所がない美しさで、モテにモテにモテまくっている助六さんその人が目の前にいました。

あぁー!なんて!なんてかっこいいの!!!

と、うっとり……

私も傾城たちとともに助六さんに惚れてしまったような気持ちになりました(*´艸`)♡

 

芝居は形がないものですから、お金をかけるのは抵抗があるという方も多いです。

しかしこうした時間と空間を買い、思い出を後生大事にして語り草にしてゆけるというのは本当に豊かなことだと思います。

自分のふるさとに根付いてきた「粋」というものを体感でき、江戸っ子の端くれとして自信が湧きました!

 

そして千穐楽は仁左衛門さんの「渡海屋・大物浦」を花横で…(人'v`*)

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この日の感想はもうすでにお話してありますので割愛しますが、

千穐楽を経て私はつくづく、つくづく、仁左衛門さんの芝居が好きだと思いました。

 

もう二度と見られないかもしれない仁左衛門さん演じる知盛の姿を思うと、

数々の娯楽の中で歌舞伎を好きになり、

たくさんの歌舞伎役者の中から仁左衛門さんを好きになったこと自体が

なんて幸せなことなのかと涙が出てきます。゚゚(´□`。)°゚。

 

この先、見納めになってしまう芝居がどんどん増えてゆくはずです。

ファンとしてそれは辛くてたまらないことですが、とにかくしっかりと目に焼き付けて、

芝居に託された仁左衛門さんの思いを感じ取り、大切に大切に未来にもってゆきたいと思います。

 

そして、

三津五郎さんの追善狂言である「どんつく」や「助六」の福山のかつぎでは、巳之助さんのふとした時の表情や動きに三津五郎さんのおもかげを見てハッといたしましたよ。

このすえひろは筋肉の柔軟性を感じられるような踊りが好みでして、巳之助さんも三津五郎さん譲りの柔らかい筋肉をお持ちのようだなぁと嬉しくなりました。

これから何年もかけて、柔軟性のなかにひとつ芯のある洒脱な踊りへと成長してゆかれることと思います(n´v`n)

 

怒涛の俳優祭も衝撃的でしたし、

久しぶりに心の底から芝居を楽しみ、芝居に明け暮れた1ヶ月でありました(´▽`)

 

満足感と裏返しの寂しさで胸がいっぱいですけれども、

幕はまた開いてしまいますからしみじみ振り返ってもいられませんね。

さて、来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。

楽しみに今晩は休みたいと思います…(人'v`*)

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