歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい五・六段目 その三 「五段目」という言葉があらわす食べ物って?

ただいま歌舞伎座で上演中の吉例顔見世大歌舞伎

夜の部で上演中の「仮名手本忠臣蔵 五段目・六段目

 

仮名手本忠臣蔵は全部で十一段に及ぶ長い長い物語であり

お話したくなるようなトピックの尽きない、奥深い作品です。

 

以前から何度もお話しておりますが、

数ある歌舞伎演目の中でも最高峰の作品ですので今月も少しばかりお話いたします。

なんらかのお役に立てればうれしく思います(人'v`*)

「五段目」と呼ばれた江戸の大人気ジビエとは

江戸の川柳で

 五段目を 蛇の目で包む 麹町

というものがあります。

 

ここで歌われている「五段目」というのは、とある食べ物のことを表しています。

なんのことだかお分かりでしょうか?

ヒントは、赤い食べ物ですよ(*´艸`)

 

 

 

 

 

 

 

もう一つのヒントは、干支のなかまです(人'v`*)

 

 

 

 

 

 

 

 

長く引っ張るようなものでもないので答えを言ってしまいますが、

答えは「いのししのお肉」であります!

 

この川柳は、東京都千代田区麹町にあった獣肉店「山奥屋」の繁盛ぶりを謳ったものです。

山奥屋ではいのししや鹿、兎などのお肉を売り、おいしい料理を出して評判を呼んでいました。

 

また山奥屋ではお肉を傘の紙に包んで提供していました。

血がついてしまいますから、撥水性がある紙が欠かせなかったのでしょうね。

 

そのためこの川柳を読み解くと

五段目(いのしし)を

蛇の目(傘の紙)で包む

麹町(山奥屋

というわけなのです。

 

 

江戸時代には一応「獣のお肉を食べてはならない」という決まりがあったものの、

それはあくまでも名目上のもの。

「薬」「くじら」など別の呼び方にして、色々なお肉をこっそり食べてしまっていたようですよ。

しゃれっけとともに欲望を肯定してしまうところがおもしろいですね。

お肉を食べればスタミナがつきますし、なによりおいしいですものね(n´v`n)♡

 

 

いのしし関連のエピソードでは、

五段目で 運のいいのは シシばかり

という文句も有名です。

悲しいことばかり起こる五段目・六段目において、唯一ほっこりできるいのししの乱入シーン。

人々の間で長く愛されてきたことがよくわかります(´▽`)

 

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