ただいま歌舞伎座で上演されている
歌舞伎座百三十年
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎 襲名披露
二月大歌舞伎
襲名披露狂言ではないものの昼の部「暫」はとても有名な演目ですので、
この機会に少しばかりお話したいと思います!
何らかのお役に立てればうれしいです。
超人的スーパーヒーローあらわる!
暫(しばらく)とは元禄期の江戸で生まれた演目。
その内容はとっても単純明快です!
- 善良な市民が悪者につかまり絶体絶命のピンチ!
- その時、どこからともなく「ちょっと待ったぁ!」という声が…
- 悪いやつらをこらしめるスーパーヒーロー見!参!
- \平和がもどった、めでたしめでたし/
…という典型的な勧善懲悪の筋立てですので、
難しい事柄は一切考えずに楽しめるお芝居だと思います。
「しばらく、しばらくーーーッ!!!」と言って現れる
主人公の名前は鎌倉権五郎(かまくらごんごろう)
もうそれはそれは強い、とにかく人間離れしたパワーを持っているんだ、
スーパーヒーローなんだ、体も大きいんだ、すごいんだぞ!!!
ということをひたすら表現するため
これでもかこれでもかと誇張された衣装・かつらをつけていて、
これが大変見ものです!
まずカニのようなかつらは「車鬢(くるまびん)」
荒事の勇猛な人物に使われるかつらです。前髪があるので、まだ青年のようです。
そして髪に突き刺さっているハリセンのようなものは「力紙(ちからがみ)」
と呼ばれています。
これは日本古来の民俗芸能にも見られるものだそうで、強烈なパワーを象徴するアイテムだそうです。
ここまでの頭のアイテムだけでも強烈なのに、
これに加えてものすごくど派手なくまどり「筋隈(すじぐま)」に
吸い込まれそうな三升の紋が染め抜かれた異常なサイズの袖がついた
インパクト絶大な衣裳「素襖(すおう)」を着ているという
もはや衝撃しかない役柄であります!
そんな主人公をはじめ舞台の上には強烈なキャラクターが大集合!
あまりの大げさぶりがクセになる、歌舞伎らしいおおらかな演目です。
ど迫力の世界をどうぞお楽しみくださいね♪
参考:大辞林/新版歌舞伎事典