歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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歌舞伎のデザイン:素朴でかわいい緑系の衣裳のお約束

ただいま歌舞伎座で上演中の

歌舞伎座百三十年

六月大歌舞伎!

昼の部「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」は女形ならではの見どころ満載のお芝居ですが

とある歌舞伎のお約束が見て取れますのでひとつお話したいと思います!

今後の芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います。

 

素朴な魅力が際立つグリーン

歌舞伎に出てくる若い女性の役は娘役などと呼ばれますが、

それぞれが住んでいる土地によって衣裳の色合いや雰囲気が異なります。

 

都会に住んでいる裕福な娘さん・町娘の役柄というのはたいてい、

華やかなおべべを着せてもらっていて友禅染や黄八丈などの鮮やかな振袖姿です。

黒地に色とりどりの花の模様がついているような、きらびやかな出で立ちが特徴です。

 

それに対してのどかな田舎に住んでいる娘さん・田舎娘の役柄は、

萌黄色や浅葱色などの緑系統の着物を着るのがお約束であります。

 

田舎娘は着物の柄や髪飾りも、町娘に比べて質素なものが使われています。

そんな町娘と田舎娘が並ぶと田舎娘の素朴でけなげな印象が際立ち、

恋心が切なくいじらしく見えるように思います。

 

萌黄色・浅葱色など緑系統の衣裳を身につけた代表的な田舎娘は

妹背山婦女庭訓」のお三輪

平家女護島」の千鳥

新版歌祭文」のお光などがあります。

機会があれば、他の演目の衣裳もぜひご覧になってみてください。

 

可愛らしいお三輪の衣裳は、こちらの君野倫子さんの書籍

歌舞伎のかわいい衣裳図鑑」の表紙にも採用されています!

歌舞伎のかわいい衣裳図鑑

歌舞伎のかわいい衣裳図鑑

 

10年前に発行された本ですがこのすえひろにとって10代の頃に

初めて買った歌舞伎の本であり、とても懐かしく思います。

今も手元にありますが、当たり前のことながら歌舞伎の本というのはいつ読んでも情報が古くはなりませんね。

しかしながら染五郎時代の幸四郎さんがとてもお若いので驚きいります!

写真がたっぷりで目にも楽しい本ですので、歌舞伎ファンになりたての方に大変おすすめです。

歌舞伎の衣裳や小物の美しさに惹かれて歌舞伎をご覧になっている方にはとくにおすすめであります。

 

参考:歌舞伎の衣裳

演目別歌舞伎の衣裳―鑑賞入門

演目別歌舞伎の衣裳―鑑賞入門

 

今月の幕見席

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