歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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新作歌舞伎 NARUTO-ナルト-を見てきました!

新橋演舞場にて上演されている

新作歌舞伎 NARUTO-ナルト- を、

今週さっそく拝見してまいりました!

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楽しみにしてらっしゃる方が大勢おいでのことと思いますので詳細についてはお話しませんが、

ご心配な方はどうぞこの際はお読みにならないようご注意ください。

 

この先ネタバレの可能性あり

ネタバレの可能性はありますが、内容に関するお話は避けたいと思います!

 

「主人公は『だってばよ』と言う」

という情報しかない状態で臨んだNARUTOでしたが、

こんなにも江戸時代の文化が織り込まれている作品とは存じ上げませんでした!

義太夫の詞章で説明があったことも助けとなり、

すんなりと理解することができました。

やはり義太夫節の説得力というのは絶大だなぁと再認識いたしました。

 

巳之助さんと隼人さんに関しては、

原作を知らずに言及するのは憚られるかっこよさでした!

さらに女性ファンが増え、お二人は名コンビとして

今後数十年に渡って様々な作品で共演なさるのだろうなと感慨深く思います。

 

原作を知らない者として役者さんの中で一番印象に残っているのは、

春野サクラ役の梅丸さんでしょうか。

もう信じられないくらいに可愛らしかったです… 

ピンクの髪のボブや濃いめのチークなど歌舞伎ではお目にかかれない拵え、

エッ…ウソでしょ…と口から出そうなほどの破壊力がありました…

どう見ても美少女でしかなかったです…今もほわんほわんと残像が浮かびます…。

 

また、色彩を絞り、線を活かした舞台空間が

非常に洗練されていて素晴らしいなと思っておりましたら、

「赤目の転生」で舞台美術をお勤めになっていた松井るみさんによるものでした!

「赤目の転生」も線が美しくてとても好きな空間だったので感動です。

 

線を活かす空間づくりというのは、古典歌舞伎の舞台にも共通していますよね。

そのため初めて見る新作歌舞伎であっても、

違和感によって気持ちがぶれることなく

お話の世界に集中できるのかなと思いました。

 

近年、自分なりに色々と考えながら

続々と登場する人気少年漫画の歌舞伎化を拝見しております。

 

大衆向けの紙媒体で人気が出ているストーリーを歌舞伎にすること自体は、

江戸時代から続くごく自然な流れだと思うのですが、

そもそも「歌舞伎」と「近代的友情」という概念が

自分の中でなかなか結び付かずにおります。

 

歌舞伎の演目内にあるテーマもいろいろですが、

「忠義」や「身を滅ぼすほどの色恋」「義理人情」などが代表的かなと思います。

ここに「近代的友情」という価値観が加わるとどのように醸成されていくのかは、

現時点で判断するのは早すぎるのかな、

今後数十年のうちにわかってくるのかもしれないな、と考えています。

明治時代以降に生まれた新歌舞伎と同様、

現代ならではの新しい価値観が加わるからこそ意義があるとも思えるからです。

 

その点「身を滅ぼすほどの色恋」を描いた女性向け漫画などは、

既存の歌舞伎との相性がいいかもしれませんね。

江戸時代の生活様式に置き換えて作ってみたりしたら

かなりおもしろいかもしれないと夢想しています。

個人的には「義理人情」が好きなのですが、

「義理人情」がテーマになっている現代の世界的人気漫画というのはあるのでしょうか?

漫画の世界には非常に疎いので、ヤンキー的なものを想像するのですが…。

もし存在しているようならばその歌舞伎化などぜひ拝見してみたいです。

 

個人的には数少ない大好きな漫画であるところの「鉄コン筋クリート」を

白浪物として見たいという欲求もあります。

漫画×歌舞伎というのは無限の可能性を秘めているなぁとワクワクしてきます。

 

次々登場する新作歌舞伎に対して、

違和感や不安がよぎってしまうこともありますが、

今後もできる限りフラットな目線かつ平常心で楽しみたいと思います!

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