歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい雨乞其角 その一 華やかな長唄の世界

ただいま歌舞伎座で上演中の

八月納涼歌舞伎

第二部「雨乞其角」は歌舞伎の本興行においては初めての上演という演目ですので、

この機会に少しばかりお話いたします。

芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!

ある伝説にまつわる長唄舞踊

雨乞其角(あまごいきかく)」は、

舞踊会などでおなじみの長唄舞踊の演目であります。

 

今回、歌舞伎を初めてご覧になる方も大勢おいでと思います。

一口に日本舞踊と言っても、実はいろいろな音楽のジャンルがあり、

それぞれに味わいが異なるのですが、

この演目の音楽は「長唄(ながうた)」というジャンルです。

もしかしたら、歌舞伎の舞踊で耳にする機会は一番多い音楽かもしれません。

 

長唄では今月第一部の「龍虎」で使われている義太夫とは違って、

細棹と呼ばれる三味線が使われています。軽やかで透明感ある音色が特徴です。

また唄の雰囲気も、どっしりと濃厚な義太夫とは異なり軽やかなので、

全体として非常に華やかな印象を受けるのが特徴です。

 

そもそも長唄というのは歌舞伎舞踊の音楽として

江戸で発展してきたものであります。

派手でリズミカルなショータイムの音楽とイメージするとわかりやすいですね。

 

対する義太夫は人形浄瑠璃の伴奏・セリフ・ナレーションすべてを兼ねる音楽として

上方で発展してきたものであります。

人形の世界に命を吹き込むためには、相当にエモーショナルである必要があります。

義太夫の濃厚さにも納得ですね。

 

今回初めて歌舞伎をご覧になる方は、

せっかくですので「龍虎」「雨乞其角」の二つの演目で

音楽を聴き比べるというのもおもしろいかと思います。

 

実はこの「雨乞其角」という演目は、

とあるおもしろい伝説がもとになっているそうです。

どんな伝説なのかについては、次回お話したいと思います!

今月の幕見席

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