歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。 歌舞伎歴10年の20代。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい雨乞其角 その二 突然の無茶ぶり…どうする其角

ただいま歌舞伎座で上演中の

八月納涼歌舞伎

第二部「雨乞其角」は歌舞伎の本興行においては初めての上演という演目ですので、

この機会に少しばかりお話いたします。

芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!

 

其角半端ないって。そんなんできひんやん普通。

雨乞其角(あまごいきかく)」は、

舞踊会などでおなじみの長唄舞踊の演目なのですが、

とある愉快なエピソードがもとになっております。

 

1693年(元禄6年)は、現代にも記録がしっかりと残っているほどの

たいへんな大日照りが起こった年でありました。

江戸近郊の農家の人々は、仕事にならず苦しんでいたのだそうです。

 

 

そんな折、あの芭蕉の弟子で宝井其角(たからいきかく)という俳人が、

江戸は向島にある三囲(みめぐり)神社を訪れますと、

近くの農家の人々が太鼓などを持ちだして

「どうか雨を降らせてください…」と必死に雨乞いをしていたのであります。

 

 

 

坊主頭の其角を見た農家の人々は

「あっ!和尚様助けてください!雨乞いの祈願をしてください!」

とぐいぐい頼んできました。

 

当然ながら和尚様ではないので、其角は困ってしまいます…。

そもそも神社に雨乞いに来ているのに、

和尚様を見かけたから頼むというのも日本らしくほのぼのとした話です。

 

 

なんの霊力もない其角でしたが、

しかしまぁ、せっかくですから一句詠みましょうか…

と、

 

雨乞いの歌を詠んだ小野小町の故事にならって

ふだちや

をみめぐりの

ならば

という句を奉納したのであります。

 

「三囲神社」と「見めぐる神」をかけ、

それぞれの頭文字を「ゆ・た・か」にしていますね。

 

田んぼを見めぐる三囲の神様なら夕立を降らせて下さいますよね、

豊かな実りを叶えてくださいますよね、お願いしますね、

という雨への祈りが込められているわけです。

 

 

和尚様でもない其角でしたが、この句を奉納した翌日、

なんと本当に雨が降っのだそうです!!

 

 

\これはすごい!!!ありがたやありがたや!/

と、江戸じゅうで大騒ぎになり

三囲神社の御利益と其角のパワーが大いに評判を呼んだそうであります。

長唄舞踊の題材にまでなり、現在まで語り継がれているのも納得ですね。

 

 

といってもこれは伝説なのか史実なのか定かでありません。

かなりの脚色が入っていると思われますので、

おもしろ話程度に受け止めていただければさいわいです (´▽`)

 

参考:毎日新聞/朝日歴史人物事典

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