歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。 歌舞伎歴10年の20代。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい助六 その九  「ざまあ見やがれ!」福山かつぎ

ただいま歌舞伎座で上演中の

芸術祭十月大歌舞伎

夜の部「助六曲輪初花桜」は仁左衛門さんが江戸一の色男・助六さんをお勤めになっていますね。

勘三郎さんの追善興行ということで勘九郎さん・七之助さんの御兄弟と玉三郎さんまでご登場という、

大変ぜいたくで貴重な機会として話題を呼んでおります。

この機会に少しばかりお話いたしますので、なんらかのお役に立てればうれしく思います。

「ざまぁ見やがれ!」

江戸一番のイケメンとして吉原中でも大評判の助六さんは実は、

父の敵を討たんとしている曽我五郎時致(そがのごろうときむね)であり、

源氏の宝刀・友切丸を探し出したいがために、いろいろな人に喧嘩をふっかけては

刀を抜かせようとしている…という事情がありました。

いろいろな人を怒らせては暴れまわる助六でしたが、

ちょっとしたもめごとを成敗してみせ、カッコいいところを見せつけてくれます。

 

そのちょっとしたもめごとというのは

意休の子分のくわんぺら門兵衛という感じの悪い男に、

うどんの箱を持った青年がうっかりぶつかってしまい絡まれるというもの。

この青年の役は「福山かつぎ」 と呼ばれています。 

 

 

最初は神妙に謝る福山かつぎですが、

うどんの出前を運んでいるために急いでいるのに面倒なことをいわれるので、

江戸ッ子らしく尻をまくって威勢よく啖呵を切ります。

緋縮緬の大幅だ!と、気前のよい上等な下着を見せてアピールするあたり、

おしゃれに敏感な江戸ッ子の男性らしいようすが見てとれます。

 

福山という店からうどん箱を担いで運んでいるから福山のかつぎなのですが、

実は、この福山というお店は江戸日本橋の堺町に実在したお蕎麦屋さんであります。

天保の改革で浅草に芝居小屋が移ると、福山も一緒に浅草へ移転してきたそうです。

 

うどんには32文する大盛りと、その半額の16文で買える駄盛りとありました。

助六がくわんぺら紋兵衛の頭にぶっかけたうどんは安い方であったため、

朝顔仙兵衛は「よくも駄盛りをぶっかけた、な」と言っているわけですね。

大盛りだったらいいのか?というところが笑えます(´▽`)

 

また、助六と福山かつぎが「これは精進か?」「生臭です」などとやりとりしているのは

動物性のものを出汁に使っているかどうか?という意味であります。

ちょっとややこしい話題になりますのでまたの機会に…

 

今月福山かつぎをお勤めなのは、仁左衛門さんのお孫さんである千之助さんです!

将来はオーパとお呼びの仁左衛門さんの当たり役の数々を

ぜひともお勤めになっていただきたいとたいへん楽しみにしております!

 

参考文献:歌舞伎登場人物事典

歌舞伎登場人物事典(普及版)

歌舞伎登場人物事典(普及版)

 

今月の幕見席

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