平成の時代もあと24時間ほどで終わりを迎えますが、
この10連休の旅先は、福岡の太宰府市が大変な人気のようですね!
その理由はもちろん、まもなく始まる新元号「令和」の典拠である
万葉集「梅花の宴」ゆかりの地であるためであります。
はるか昔の奈良・平安時代の政治の中心であった現在の太宰府市。
長官を務めていた大伴旅人が、自宅で開いた「梅花の宴」によせて
令和の典拠である梅の花の歌の序文をつくったとのこと。
初春の令月にして、気淑く風和ぎ…という、美しい春の情景が描かれています。
太宰府展示館では特別展も催され、にぎわっているもようです。
大伴旅人だけでなく菅丞相も
そんな太宰府ですが、実は歌舞伎にも深いゆかりのある地。
三大狂言のひとつに数えられる名作「菅原伝授手習鑑」の
モチーフとなった飛梅伝説の地・太宰府天満宮があります。
いまでは学問の神様として知られる菅原道真が、
都から遠く離れた九州の太宰府へと左遷されるとき、
大切にしていた都の梅の木に
「東風吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主なしとて 春な忘れそ」と詠むと、
その梅の木が遠い太宰府まで飛んできたのだそうな…
という大変不思議でファンタジックなお話が「飛梅伝説」です。
ここになぜか、江戸時代に世間が騒然としたという
「大坂で三つ子ちゃん誕生」のニュースをからめたものが菅原伝授手習鑑。
時の権力者の策略で太宰府へと流されてしまう菅丞相(=菅原道真)と、
菅丞相を慕う松王丸・梅王丸・桜丸という三つ子の物語で、
親子の別れや別の主人に仕える兄弟の葛藤などさまざまな悲しみが描かれています。
主人公である菅丞相は仁左衛門さんの当たり役ということで、
2015年3月に歌舞伎座で菅丞相をお勤めになった際、
太宰府天満宮境内の心字池のほとりに梅の木を植樹なさっていますよ!
太宰府天満宮では「飛梅伝説」の木そのものもまだ健在で、
その苔むした堂々たる姿もまた圧巻であります。
以前、福岡に出かけた際にお話したものがございますので、
境内の様子などご参考になさってくださいませ。
お出かけの際はぜひ、新元号令和に思いを馳せるとともに、
伝説の飛梅と植樹の梅もチェックなさってみてくださいね!
参考文献:朝日新聞・読売新聞