こんばんは♪
今月に入ってから「卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)」のあらすじに関する検索が増えているようですので、本当にざっくりとですがお話したいと思います(´▽`)
お話の由来
そのむかし頭痛に悩まされていた後白河上皇。
熊野で祈願をしてみたところ、
”上皇の前世のお坊さんのどくろが川底に沈んでいて、そのどくろを貫いて柳の木が生えていますよ。だから、柳が風になびく度に頭が痛いのですよ”
とのお告げを受けましたΣ('0'o)
お告げ通りに川底を調べると本当にどくろが見つかったため、
そのどくろを千手観音の尊像に塗りこめ
柳の木は梁として三十三間堂を建立したところ、
上皇の頭痛が治まった…という伝承があるそうです。その伝承をモチーフに作られたのが、この物語です。
あらすじ
ところは紀州・熊野。熊野古道で知られる、緑豊かな場所です。
大きな柳の木の下の茶店に、鷹狩のお侍が家来たちとやってきましたがどうやら大切な鷹が柳に引っかかってしまったようですヽ(´o`;
鷹のためにこの柳を切ってしまおうか、と話していたところ
平太郎とその母・瀧乃が通りかかり、弓矢で見事に鷹を助けました。
そこで平太郎は、茶店を営んでいる娘のお柳と出会います。
二人はお互いに惹かれ合い、夫婦となることにしました(n´v`n)
その後、二人の間には緑丸という名の男の子が生まれ、
お父さんお母さんと坊や、そしておばあちゃんというとても幸せな家庭を築いていました。
そんなある日、知り合いのお侍・新ノ蔵人が都から訪ねてきます。
先ほどお話したような白河法皇(後白河上皇の置き換え)の頭痛平癒のための三十三間堂建立の件で、柳の木を切らねばならず熊野にやってきたのだといいます。
これから切りにいくんですよ、と聞いてお柳は驚きますΣ('0'o)
蔵人と入れ替わりに帰ってきた何も知らない平太郎。晩酌を終えるとすぐに眠りについてしまいました。
やがて柳を切る音が聞こえてきて、お柳は身を切られる痛みに苦しみ始めます。お柳は実は、柳の精だったのです。
柳の木が切られることは死と同様、人間として手に入れた幸せとの別れを意味します。
突如訪れた別れの時を悲しみ、平太郎や瀧乃が必死に呼び止めるも、お柳は姿を消してしまいました。。
平太郎は緑丸に母の姿を一目見せねばと、柳の木の下へと急ぎます。
場面は変わって、翌朝。
勇ましい木遣音頭の声の中を切り倒された柳の木が熊野の道を曳かれてゆきます。。
ところが突然、柳の木がびくともしなくなってしまいました。
そこへ平太郎と緑丸が駆けつけ、
”柳は我が子との別れを惜しんでいるのです、この子に綱を曳かせてください”
と願い出ます。
巨木に対してとても小さな緑丸が曳くと、柳の木は不思議なことにスルスルと動き出し、一家は今生の別れを惜しむのでした。
みどころ
衣裳の引き抜きや大道具の仕掛けなど、目に楽しい仕掛けが盛り込まれています。
そしてこのお話は、人間と動植物の精との結婚を描いた異類婚姻譚(いるいこんいんたん)と呼ばれるジャンルの物語です。洋の東西を問わずこのような物語はたくさん作られてきました。
柳の精と人間との結婚というとてもファンタジックなお話ですが、非現実的な夢物語とは思えず涙を誘われました。
現実世界にもこのような突然の別れ、愛する家族を置いていかねばならぬ悲しみは溢れているわけで、お柳の身を切られるような痛みからは妻として母親としての思いを比喩的に感じます。
今回の歌舞伎鑑賞教室では親子観劇プランも出ているようですが、特にお母様お父様はこの物語をどのように感じられるのかぜひともお話を伺ってみたいなあと思います(n´v`n)
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まだ切符のある日もあるようですので、お問い合わせの上おでかけください(人'v`*)