今日も、ただいま歌舞伎座で上演中の秀山祭九月大歌舞伎より
「一條大蔵譚」のお話をしたいと思います。
ここまでのあらすじ
昨日は、だいたい檜垣の段あたりまでをざっくりとお話しました!
源氏再興を目指している源義朝の家臣・吉岡鬼次郎は、
阿呆と評判の公家・一篠大蔵卿の妻となった源義朝の愛妾・常盤御前が
何度も嫁入りをして一体どういうつもりでいるのか…
自分と同じ源氏再興の志を持っているのか…
それとも義朝への恩義など忘れてしまったのか……
そのような諸々を確かめたいと思い、
自身の妻・お京と手を組んで大蔵卿の屋敷へと入り込んだのでしたね。
常盤御前を発見
ここから場面は変わりまして、大蔵館の奥殿です。
鬼次郎夫妻がこの奥殿へ駆けつけますと、
常盤御前はちょうど御簾の中にてなにやら投げている様子。
なんと、小さな弓矢で楽しげに遊んでいるではありませんか!
これは揚弓という遊びで、鬼次郎夫妻にはなんだかとてものんきに見えたのかもしれません。
二人は頭に来てしまい、
\義朝様の恩義を忘れたんですか!/
\二度も三度も嫁入りして、貞操のない方ですね!! /
となじり、弓を取り上げて常盤御前をぶんぶん殴りました。
常盤御前の本心は
この打擲を受けて怒るどころかなんと、
鬼次郎夫妻の忠義のこころを褒める常盤御前。
隠していた本当の気持ちを、夫妻に向かって語り始めました。。。
自分がなぜ一度 敵方の清盛の愛妾となったかといえば
義朝の忘れ形見の幼い今若・乙若・牛若の三兄弟を守りたいその一心だった、
権力に翻弄されて、物同然に扱われる女の身は悲しいもの……
そういった思いを嘆く場面は、常盤御前の大きなみどころです。
そればかりでなく私が今こうして揚弓で遊んでいるのも、
実は平家の調伏を祈り念じながらのことなのですよ、と明かす常盤御前!
なんと的の下にこっそり清盛の絵姿を敷いたうえで、
それに向かって弓を投げていたことがわかりました。
これを受けて鬼次郎夫婦は驚愕!!
私たちはなんてことをしてしまったのでしょう…!!
と詫びて、共に涙を流すのでした。
と、そこへ…
そんな3人の様子を伺っていた
家老の八剣勘解由といういかにも悪そうな男がやってきました。
\聞いた聞いた、常盤御前の計略を清盛に言いつけてやるぞ!/
と勘解由勇んでゆこうとしたその時、
お話は驚きの展開を迎えます…
と、今日はここまでにしまして明日に続きますね。