文楽9月公演「通し狂言 一谷嫩軍記」「寿式三番叟」の舞台裏潜入レポート!
人形遣いの玉佳さんにご案内いただき、文楽の舞台裏のいろいろを拝見してまいりました。
その二では小道具や舞台下駄などのお話をしましたが、今日はファン垂涎のあの場所のお話をしたいと思います(*´艸`)
コンパクトな陣屋
舞台裏に入れていただいたのはちょうど
"このあと「熊谷陣屋の段」が始まる"
という幕間でした。
それはつまり、歌舞伎の舞台で見慣れた熊谷陣屋の大道具のオリジナル版を見ることができる…ということ!
とにかく興奮の極まりでどうにかなりそうでしたが、写真に収めてまいりました((°_°))
ご覧ください、向かい鳩の紋!熊谷陣屋です!
さすが人形の舞台。コンパクトにつくられていて、引きの写真がうまく撮れませんでした(>_<)
この板の向こうは掘りごたつのように一段低く作られていて、人形遣いの方が持った状態でちょうどよく人形が立っているように見える高さになっているようです!
舞台の奥は、手前と比べかなり広々と作られているように感じられましたΣ('0'o)
あの制札が!
陣屋の桜の木の下に掲げられた制札の
「一枝を伐らば一指を剪るべし」
という言葉は、一谷嫩軍記の要となる最重要フレーズです。
歌舞伎の熊谷陣屋でもそれは同じで、制札を手にした迫力ある見得が大きなみどころとなっています(n´v`n)
そんな制札ももちろんありましたよ!
並んでみた自分の背丈から推測するに、この制札の頂点が150センチ程度の高さです。
歌舞伎の熊谷陣屋をご覧になった方にはこの世界全体のコンパクトさがおわかりいただけるかと思います(*´艸`)
上の写真の右下のところに黒い足が覗いているのがおわかりいただけるでしょうか?
客席からは床のように見えている障子の下に、これだけの空間があるということですねΣ('0'o)
憧れの床へ…
文楽の舞台右手に設置されている「床(ゆか)」という場所は義太夫節を愛する方々にはたまらぬものですが、ざっくりとそのご説明をしますね(人'v`*)
そもそも文楽というものは義太夫節と呼ばれる音楽によって物語られる人形芝居で、主に太夫と三味線の2人1組で演奏されています。
太夫は登場人物のセリフ全て(全員分を1人で!)、その場面の情景・事件の背景・詩句などを節に乗せて語ります。
芝居はこの語りによって進行していくので、1時間以上語り続けなければなりません。
玉佳さんも「カラオケで3分歌っただけでも疲れるのに1時間語り続けるのはすごいこと」とおっしゃっていました…!
そんな尋常でない迫力の語りに心奪われます。゚゚(´□`。)°゚。
三味線は低く力強い音の太棹三味線を使いますが、音楽を演奏するというよりも、太夫の語りを助け物語の内容を描き出すような演奏です。
生で聞くと体に振動がズンと響いてくるので大変心地よく、心を直接動かされるような感動があります…!!
太夫の語りが耳慣れなくとも、三味線の音で「ここはきっと悲しいところなんだ…」などと伝わってくるので初めての方も安心です(´▽`)
太夫と三味線が義太夫節を演奏する舞台が床(ゆか)で、くるりと回る回転式の装置で太夫と三味線が登場するようなつくりになっています。
なんと今回は、その床の裏側にも入れていただくことができました!
これが裏側のようすです!
くるりと回す時には、ここから手で動かすのだそうです。
この床のエリアは地面がなんとなくザラザラしていましたが、玉佳さんのお話によると塩をまいて場を清めているのだそうですΣ('0'o)
なんとも言えぬ厳かな雰囲気がありました。
立派な漆塗りの見台です!
太夫はここに床本を置いて語ります。
見台の後ろにちらりと見えている台にお尻を乗せ、お腹から声が出るような角度を作るのだそうです。
見台はこんな風に、太夫の皆様それぞれのカバーがかけられいくつも収納されていました!
またすっかり長くなってしまいましたので、今日はこのあたりで終わります。
次回はいよいよお人形の写真をお見せしたいと思います!
どうぞお楽しみに(人'v`*)