今月上演中の十二月大歌舞伎!
第二部の「寺子屋」は、菅原伝授手習鑑という名作の中のひとつの場面であるということは既にお話いたしました(´▽`)
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)のなかの菅原というのは、あの菅原道真のことです(人'v`*)
菅原道真といえば、天神様ですよね!
学問の神様として信仰されていますから、受験のときにお参りに行ったなぁという方も大勢おいでかと思います。
天神様にお参りに行くと梅のモチーフがいろいろなところにありますが、それも歌舞伎ファンにとっては菅原伝授手習鑑を思い出してしまう風景のひとつです(n´v`n)
この菅原伝授手習鑑の中で、菅原道真は菅丞相(※かんしょうじょう)と呼ばれていますので、ぜひ覚えておいてくださいね。
三つ子の兄弟
この物語の軸となっているのは、松王丸・梅王丸・桜丸という三つ子の兄弟です。
これは当時世間の評判になっていた
三つ子誕生という大ニュースにアイデアを得て、
道真が愛した松・梅・桜という三本の木を織り交ぜて創作したキャラクターだと言われています。
津々浦々で評判となりお芝居を作ってしまうほどに三つ子が珍しい時代だったんですね、芝居がワイドショー的役割を持っていたことがよくわかります(´▽`)
菅丞相vs時平
この物語の舞台は平安時代、藤原時平(ときひら)が菅丞相の敵のキャラクターとして登場します。
このお話の中では時平(しへい)と呼びますので、ここでもそのようにお読みくださいませ。
いろいろと書いてゆくと本当におさまりがつかなくなってしまいますから、とても大まかはありますが、全体を通して善が菅丞相・悪が藤原時平とだけ認識していただければと思います。
菅丞相は、百姓の家に生まれた松王丸・梅王丸・桜丸の三つ子を、たいへん縁起が良いということで牛飼いの舎人にしてあげました。
梅王丸は善人である菅丞相の家来になったのに対し、
松王丸はなんと悪の権化、時平の家来に(・_・;)
そのようなこともあり梅王丸と松王丸は猛烈にいがみあっている兄弟なのでした。
なにやらかにやら政治的にいろいろとあり時平と菅丞相は対立し、出世欲の強い時平のずるい計略によって菅丞相ははるか遠くの太宰府へと流罪になってしまいます。
そんな道真を追う梅王丸
流罪の根本的原因となってしまった責任を取って自害する桜丸
時平の家来である松王丸は果たしてどうするのか、というのが「寺子屋」の場面で描かれています!
顔見世では車引を上演中
歌舞伎座の「寺子屋」よりもっと前の段階の場面である「車引」が、現在京都の顔見世で上演中です。
ドロドロに強い出世欲を持つ時平が、強欲な悪さのあまりモンスター化し、妖気で牛車をぶち壊してしまうほどの強烈な存在として登場しますΣ('0'o)
歌舞伎ならではの面白さがつまったど派手な一幕ですから、上演の機会にはぜひご覧になってみてくださいね。
この句を忘れずに
道真の「梅は飛び 桜は枯るる世の中に 何とて松のつれなかるらん」という句。
これがこの物語の中での重要なキーワードとなります!
梅は飛び、
桜は枯れ、
松はいつまでも青々としてつれない・・・。
しかし、松は本当につれないのでしょうか・・・?
そんなことを思いながら、歌舞伎座の「寺子屋」をご覧になってみてくださいね(人'v`*)