歌舞伎はお芝居だけでなく踊りの演目もありますよね!
普段歌舞伎をご覧にならない方を歌舞伎にお連れすると、たまに「舞踊は綺麗だったけどよくわからなかった」という感想を聞くことがあります。
確かに、音楽がゆっっったりと始まりますから、歌舞伎をご覧になって日の浅い方では少し退屈に感じられることもあるかと思います(。´_`。)
このテンポいつまで続くんだろう…
なんて言ってるんだろう………
と思ううち、眠りの世界へ誘われてしまうことも考えられます。
しかし、曲の詞章をワンフレーズだけでも聞き取れるともっと楽しくなるはずだと思いますので、今日は京鹿子娘道成寺の有名なフレーズのお話をします!
次回ご覧になる際は、どうぞ聞き取ってみてくださいね(´▽`)
京鹿子娘道成寺のおはなしの流れについてはこちらをご一読ください。
花の外には松ばかり
一つは、花子が烏帽子をつけて厳かに踊り始めるところの詞章。
能の雰囲気の大変かっこいいフレーズです。
これは一番最初の大変有名な文句ですから、ぜひ聞き取ってみてくださいね!
花の外(ほか)には松ばかり
花の外(ほか)には松ばかり
暮れそめて鐘や響くらん
花道で鐘を差して見返る姿が大きな見どころであります。
後に続く
鐘に恨みは数々ござる
では、鐘への執着も匂います(・_・;)
恋の手習い
もう一つは、この演目の一番のみどころといっても過言ではない手ぬぐいを使ったクドキの部分です。
舞台の上に、女の情をしっとりと描き出してゆきます。
恋の手習 つい見習いて
誰に見しょとて 紅かねつきょぞ
みんな主への心中立て
~中略~
殿御 殿御の気が知れぬ
悪性な 悪性な気が知れぬ
恨み恨みてかこち泣き 露を含みし桜花
さわらば落ちん風情なり
恋のときめきから心の乱れまで娘らしい心の内を表現する部分で、唄われている言葉を知って踊りを見てみると新たな発見がたくさんあります。
花子が手ぬぐいを持ったら、来るぞ来るぞ!と思ってくださいね(*´艸`)
山づくし
見ていて愉快なのは、お腹に鞨鼓(かっこ)と呼ばれる小さな鼓をつけて打ち鳴らしながら踊るリズミカルな部分です。
ここでは「富士の山」「吉野山」「嵐山」…と様々な山の名前が出てきますから、
次は何山が来るかな?と楽しみに聞いてみてください(´▽`)
祈り北山…お祈りポーズ
稲荷山…狐の反りポーズ
という楽しい振りも付いています。
他にもみどころはたくさん
京鹿子娘道成寺はここで挙げた部分以外も見どころ満載の舞踊です。
詞章を読んでみますと、後半にゆくにつれ
懺悔懺悔 六根罪障
南無不動明王 南無不動明王
ええ何でもせい ええなんでもせい
などと俄かにおそろしげな文言が出てくるのもおもしろいですね(*´艸`)
こうした語感だけでも、受け取る印象はがらりと変わりますよね!
日本語は同じ意味をあらわす言葉でも様々な音があるため、言葉の選び方ひとつで抱くイメージが変わってきます。
古典邦楽は言葉の音楽です。
そんなことを念頭に置きながら舞踊を見てみると一層楽しめるのではないかなぁと思います!
ぜひ聞き取りにチャレンジなさってみてください(人'v`*)