歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい絵本太功記 その二 名前に工夫あり

ただいま歌舞伎座で上演中の猿若祭二月大歌舞伎

今日も夜の部「絵本太功記」について少しばかりお話いたしますので、何らかのお役に立てればうれしく思います(´▽`)

 

時代物の大作であります「絵本太功記」は、

太閤秀吉の二百年忌に際して作られた読本「絵本太閤記」を原作として

明智光秀が謀って織田信長を殺した本能寺の変を軸に作られた全十三段の物語です。

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あの有名人も実名NG

本能寺の変といえば日本の歴史上たいへん有名な事件ですから、大河ドラマや時代劇などでもよく描かれていますよね。

しかし江戸時代当時は、歌舞伎の置かれた立場により「大河ドラマのように歴史上の政治的人物を実名で登場させてしまうとマズい」という事情がありました。

 

そのため

織田信長=尾田春長(おだはるなが)

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羽柴秀吉=真柴久吉(ましばひさよし)

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明智光秀=武智光秀(たけちみつひで)

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という名前がお約束として使われています。

 

尾田(小田)春長真柴久吉という名前は特に古く、

「絵本太功記」ができる80年ほど前にあの近松門左衛門が「本朝三国志」というお話を書いたころからのお約束となっているようです。

近松門左衛門という方は遊び心のある頭の柔らかい方だったのだろうなぁと思いめぐらすと楽しいですね(´▽`)

 

こんなに露骨じゃ伏せたことにならないのでは…バレちゃっていたのでは…

と心配になりますが、おそらくバレていたのではないでしょうか(*´艸`)

それでもこれらの名前はお約束としてずっと使われ続けていたわけですから、

まぁ歌舞伎や文楽の人たちも形の上ではルールを守ろうとしてるもんね、と見逃されてきたのかもしれませんね。

実際のところはどうだったのか、江戸時代に行ってようすを見てみたいものですね(n´v`n)

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