4月6日から毎週木曜日深夜2:28より
TBSほかにて放送されているアニメ「カブキブ!」
歌舞伎を題材にしたアニメということで、歌舞伎ファンの方々にも注目されているようです。
私はといえばうっかり初回の放送を見逃してしまったのですが、おすすめを受けてなんとか視聴できました(´▽`)
恥ずかしながらこのすえひろ、アニメはほとんど見ることがありません。
なのでアニメ作品としてどうなのかといったことや、声優の方のお顔ぶれなども全く存じ上げないのですが、
随所に歌舞伎の小ネタがちりばめられており非常に楽しく拝見しました!
一度も歌舞伎をご覧になったことのない方はどう思われるのか、非常に気になるところです…(n´v`n)
もしかしたら、カブキブ!について検索されてこのブログへたどり着かれた方もおいでかもしれません。
カブキブ!によって歌舞伎に興味を持たれる方が爆発的に増えることを願いまして、
アニメファンの方々に向け各話の内容から歌舞伎の演目などをごくごく簡単にご紹介してゆきたいと思います。
アニメファンの皆さま、初めましてすえひろと申します(人'v`*)
なお、このブログは諸事情により実際のアニメの画像などを載せられませんので、適宜検索などしていただければ幸いです!
序幕「こいつぁ春から…」
7日放送の序幕は、
大の歌舞伎好きである主人公の来栖黒悟(くるすくろご)が歌舞伎部の結成を目標に、
友人の村瀬とんぼとともに同好会の仲間探しに奔走する…という筋立てでありました。
この登場人物の名前からして、なるほど…と思ってしまいます(*´艸`)
タイトル「こいつぁ春から…」は
三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ) ※三人吉三廓初買
という演目の名台詞。
数ある歌舞伎の演目の中でも、大変人気のある作品ですヽ(。>▽<。)ノ
闇夜に出会った三人の盗賊
お嬢吉三(女装の美少年)
お坊吉三(イケメン浪人)
和尚吉三(包容力抜群の兄貴的存在)
この三人の吉三が兄弟の盃を交わし、次第に運命に翻弄されてゆく…
江戸末期の退廃の美学を描き出すような、非常にかっこいい演目です!
序幕の冒頭で、
黒悟が歌舞伎座の3階A席1列目で見ていたのは
三人吉三の「大川端庚申塚の場」という場面であります。
振袖姿のお嬢様のふりをしたお嬢吉三が、
街角で春を売る夜鷹と呼ばれる女性を騙して百両ものお金を奪った挙句、
夜鷹を大川へと突き落として、
男に戻って気持ちよく朗々と語るのが「こいつぁ春から…」の名台詞です。
悪いですね!とっても悪い男であります。
悪いけれど、カッコいいのです。
声に出して読みたいような台詞ですのでここに記しておきますね!
月も朧(おぼろ)に白魚の
篝(かがり)も霞む春の空
冷てえ風も微酔(ほろよい)に心持よくうかうかと
浮かれ烏(うかれがらす)のただ一羽
塒(ねぐら)へ帰る川端(かわばた)で
棹(さお)の雫(しずく)か濡手で粟
思いがけなく手に入(い)る百両
\御厄(おんやく)払いましょか、厄落し(やくおとし)/
ほんに今夜は節分か、
西の海より川の中、落ちた夜鷹(よたか)は厄落し、
豆沢山(まめだくさん)に一文の銭と違って金包み、
こいつぁ春から縁起がいいわえ
この音楽的な七五調の台詞は、三人吉三を書いた作者・河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)の真骨頂であります。
このあと、
「ちょっと待ってもらいたい…」とお坊吉三が現れ、
お嬢吉三とお坊吉三は、百両を巡って命をかけた斬り合いになります。
それを止めに入るのがお坊吉三。
三人がビシッと揃うかっこいい決めポーズが大変有名です。
ちなみに、ここでの「春」というのは節分のこと。
今の感覚の春とは少し異なります。
余談ですが、最後のシーンで梨園御曹司の蛯原仁が練習していた演目は勧進帳(かんじんちょう)というもの。
勧進帳を本当に簡単にご説明しますと、
追われている弁慶と義経が旅の山伏一行になりすまして、関所をどうにか通り抜ける…という内容です。
弁慶は主君の義経を、どんな手段を使っても守り抜かなければなりません…そんな二人の関係性が泣かせどころです。
蛯原仁は「勧進帳」の飛び六方を練習していました。
弁慶が義経を無事に守り抜いて喜び勇んで立ち去ってゆく幕切れの場面です。
勧進帳幕切れの長唄と蛯原の飛び六方に合わせて、黒悟は大喜びで駆けてゆきました。
弁慶と黒悟の心情がリンクしていたのでしょうね。
これはかなり歌舞伎がお好きな方が考えたのではないかな?となんだか嬉しくなりました(n´v`n)
長くなりましたので、このあたりで終わりたいと思います。
まだ歌舞伎をご覧になったことのないアニメファンの方の、何らかのお役に立てれば幸いです。
明日の第二話も楽しみですねヽ(。>▽<。)ノ