ただいま歌舞伎座で上演中の六月大歌舞伎!
今日は夜の部「曽我綉俠御所染」について少しばかりお話したいと思いますので、
何らかのお役に立てればうれしく思います(´▽`)
その一
その二
その三
都にやってきた二人はその後…
不義の恋を知られた須崎角弥と腰元の皐月が、国を追われて京都へやってきたところまではその三でお話してあります(´▽`)
須崎角弥はやがて名の知れた男伊達・御所五郎蔵となり、皐月は甲屋の傾城となりました。
慎ましくとも普通の商売を、というのは難しかったのでしょうか…そのあたりの背景はよくわかりませんがいろいろとあったようです。
片思いをしていた土右衛門は皐月のお客として、どうにか思いを遂げようと通っています。
この人まだ諦めていないのか!とゾッとしてしまいます…(・_・;)
巴之丞さまと逢州さんの問題も浮上
問題はそれだけではありません。
五郎蔵がさむらいの頃に仕えていた大名の巴之丞さまも甲屋の傾城・逢州さんに入れ揚げてしまっており、大金の支払いが滞っているようなのです!
五郎蔵はかつての主君のため、どうにかお金を用立てたいと思っている…
という状況でもあります。
巴之丞が愛する逢州さんは、五郎蔵にとっては主君も同然の頭の上がらない存在です。
喧嘩で名を上げる侠客の五郎蔵も根はさむらい、忠義に一途なのでした。
皐月も元は腰元ですから、そんな五郎蔵の思いがよくわかります。後ろめたい思いもあるはずです。
五郎蔵のために、どうにかお金を工面したいと思っている…という状況であります。
二人に影を落とす不義の恋
御所五郎蔵にいつまでも付きまとう不義の恋という過去により、色っぽさがいっそう増して感じられるように思います。
皐月さんも今では廓づとめをしていますが、五郎蔵に操を立てているので馴染みのお客さんがおらず、なかなか大きなお金を工面できずにいるのです。
現行上演の幕切れである逢州さん殺しの後、
五郎蔵と皐月はそれぞれ尺八と胡弓を奏でながら自害してしまうのだそうです。
そんな二人の強い結びつきを思うと、縁切りの場面の切なさも沁みてきますね。゚゚(´□`。)°゚。
これまでにお話してきた背景を思いながらご覧になると、
「御所五郎蔵」がより楽しめるのではないかなと思います!