ただいま歌舞伎座では秀山祭九月大歌舞伎を上演中です。
初代吉右衛門の芸を顕彰することを目的とした「秀山祭」
今年は、当代吉右衛門さんが昼の部で極付幡随長兵衛をお勤めになっています!
そんな極付幡随長兵衛について、少しばかりお話いたします。
なんらかのお役に立てればうれしく思います。
幡随長兵衛の男らしい名台詞
男の中の男である幡随長兵衛には、黙阿弥らしい名台詞が数々散りばめられています!
そのかっこよさに胸が熱くなるような台詞ばかりです。
特に有名なのは「人は一代、名は末代…」でしょうか。
殺されるのがわかっているのに水野十郎左衛門の屋敷に赴こうとする幡随長兵衛を、
なんとかして止めようとする子分たち。
そんな子分たちに男の生きざまを語る、泣かせる台詞です。
すえひろが好きなのは湯殿での十郎左衛門と長兵衛の熱い台詞のやり取りであります。
手元の書籍にあるものを写し取りますので現行の台詞と多少異なる点もあるかもしれませんが、少しこちらに記しておきます。
響きの美しさとカッコよさをぜひ堪能してください。
いかにも命は差し上げましょう
兄弟分や子分の者が 留めるを聞かずただひとり
迎いに応じて山の手へ 流れる水もさかのぼる
水野の屋数へ出てきたは もとより命は捨てる覚悟
百年生きるも水子で死ぬも 持って生まれたその身の定業(じょうごう)
卑怯未練に人出を借りず こなたが初手からくれろと言やあ
名に負う幕府のお旗本 八千石の知行取り
相手に取って不足がねえから 綺麗に命を上げまする
殺されるのを合点で 来るのはこれまで町奴で
男を売った長兵衛が 命惜しむと言われては
末代までの名折れゆえ 熨斗をつけて進ぜるから
度胸のすわったこの胸を すっぱりと突かっせぇ
…といったものです。しびれますね~。
手元の書籍というのは東洋書院の「歌舞伎の名セリフ」というものです。
このすえひろは、GINZA SIXの蔦屋書店で入手しました。
書店でなかなかお目にかかれずアマゾンでも見当たらないのが残念ですが、
ぜひともおすすめしたい一冊です。