ただいま歌舞伎座では秀山祭九月大歌舞伎を上演中です。
初代吉右衛門の芸を顕彰することを目的とした「秀山祭」
今年は当代吉右衛門さんが夜の部で、初代の当たり役である「ひらかな盛衰記 逆櫓」
船頭松右衛門 実は 樋口次郎兼光をお勤めになっています!
そんなひらかな盛衰記 逆櫓について、少しばかりお話いたします。
なんらかのお役に立てればうれしく思います(人'v`*)
中村歌右衛門の型
船頭松右衛門が樋口次郎兼光として本性をあらわす場面では
「権四郎、頭(ず)が高い」というひと言から始まり
「いやさ頭(かしら)が高い」と言って睨みつけ
立派にさむらいの名を名乗るという、なんともかっこいい型が使われています(n´v`n)
文化文政期の代表的な名優として知られる三代目中村歌右衛門が確立したものと伝えられています。
三代目中村歌右衛門は、立役から女形、実悪、所作事など何を演じても素晴らしい役者と大評判の方でありました。
三代目が樋口を勤めた折、権四郎を勤めたのは
当時の名脇役であった浅尾工左衛門という役者であったそうで、
何やら三代目にいじわるをしたとやら嫌味を言ったとやら…真実はわかりませんが伝えられています。
そんな苦難から工夫されて、この樋口の型が生まれたのだそうです(人'v`*)
江戸時代では舞台の上で役者同士が大げんかをしたとか
いじわるされて機転を利かせたのが型になったとか
そのようなエピソードをよく目にしますが、
その際お客さんというのはどのように受け止めていたのかとても気になりますね。
やいのやいのと大声を上げていたのでしょうか(*´艸`)
現代の私たちはやはり西洋から伝わった演劇鑑賞マナーの範疇で歌舞伎を見ているわけですから、
当時は全くの別世界が広がっていたのだろうなぁ…と考えただけでワクワクしてきます(n´v`n)
話が逸れましたが、そのようにして生まれた方にリアリティを加えたのが
明治時代の『劇聖』として名高い九代目團十郎。
そしてその九代目から演出を受け継いだのが初代吉右衛門だそうです。
そしてなんと「逆櫓」は当代の吉右衛門さんの初舞台の演目であったそうですΣ('0'o)
子役の駒若丸として初代吉右衛門と共演したものの
いつも優しい初代が血だらけになって恐ろしい顔で大声をあげるので大泣きしてしまい
本番前にも泣いてしまうので化粧もできず
上演期間途中で降板となってしまった…
という、
なんとも可愛らしいエピソードを先日NHKの番組でお話なさっていました(´▽`)
吉右衛門さんも子役の頃があり、初代から受け継ぐ芸を何十年も積み重ねて今があるのか…
と、そのありがたさを改めて感じるエピソードであります。゚゚(´□`。)°゚。