歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい毛谷村 その三 原作のお園は180センチの超長身

ただいま歌舞伎座で上演中の秀山祭九月大歌舞伎

昼の部「彦山権現誓助剱 毛谷村」について、少しばかりお話いたします。

なんらかのお役に立てればうれしく思います。

女武道・お園は魅力たっぷりの役柄

毛谷村」は毛谷村六助の器の大きさもさることながら、

虚無僧の恰好で登場する怪力ガール・お園のお芝居も大きな見どころであります。

 

彦山権現誓助剱」の原作である『豊臣鎮西軍記』に出てくる

八重垣流の達人・吉岡一味斎の娘・お園がモデルとなっているのですが、

『豊臣鎮西軍記』においては六助はお園の妹であるお菊のお婿さんとなるようです。

 

加えて、原作の中でお園は

身の丈六尺(約180センチ)の大女

とされています。

180センチの女性というのは現代においてもバレーボール選手のような長身ですから

昔でしたらさぞかし大きかったことと思います!!

 

毛谷村」のお芝居でのお園は虚無僧の男装姿で現れ、

男の六助に斬りかかったり、臼を軽々と持ち上げたりする

怪力でとても気の強い女の子として描かれています。

しかし六助が許嫁とわかると急に女の子らしさをアピールする、

若さや可愛らしさも持ち合わせている大変魅力的なキャラクターです。

 

また、お園は歌舞伎のいろいろな役柄のジャンルのひとつ「女武道」としても有名であります。

女武道」というのは女ながら武芸に優れ、忠義のためにその腕前を発揮するという

実力やマインドにおいてさむらいの部分を持った女性の役のことだそうです。

 

この女武道が主人公格で登場するのはこの「毛谷村」だけのようで、

女形の方にとってはしどころの多い大変重要な役のようです。

 

余談ですがこのすえひろは

毛谷村」のお園ちゃんであったり

すし屋」のお里ちゃんであったり

とても気が強いのだけれども好きな男の人の前では急にしおらしくなってしまう歌舞伎の女性が大好きです。

 

恋に夢中のお姫様も素敵ですが、この二人は恋の他にもビシッと一本筋が通っていて、

それでいて可愛らしい一面もあり、とても憧れます。

 

今月の菊之助さんのお園はこれから拝見しますので、とても楽しみにしております!

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