今月歌舞伎座で上演されていた秀山祭九月大歌舞伎!
夜の部「ひらかな盛衰記 逆櫓」に登場した、
とあるアイテムについて少しばかりお話してみたいと思います。
なんらかのお役に立てればうれしいです(人'v`*)
江戸時代のお土産 大津絵
ひらかな盛衰記 逆櫓では、
西国巡礼に連れて行った大切な孫の槌松を
大津の宿でのどさくさで木曽義仲の子・駒若丸と取り違えられてしまった
権四郎というおじいさんが登場します。
槌松がすでに死んでしまったことを知った権四郎が
「槌松にあの大津絵を買ってあげたんだ…」と悲しく語る場面がありました(。´_`。)
その大津絵というのはふすまに貼られていた鬼と福禄寿の絵であります。
「鬼のように強い子に育ち、福禄寿のように長生きをしてほしい」
という権四郎の願いが込められていたのです。
そもそもこの大津絵というのは江戸時代、
近江国の大津に住んでいた人々がいろいろに描いて大量生産し
東海道大津宿の手軽なおみやげとして売っていたものであります(人'v`*)
その絵のタッチはとても素朴でユーモラスで
かわいい仏様であったり、ゆるキャラのような鬼であったりして
全国的に大人気のイラストとなったのですヽ(。>▽<。)ノ
「鬼の念仏」「藤娘」「矢の根」などなど
人気のモチーフは『大津絵十種』と呼ばれ親しまれていました。
多くは仏様や縁起物などの御利益ありげなモチーフであるために、
権四郎のようにおまじないや魔除けのつもりで買い求められていたようです。
東京国立博物館デジタルコンテンツではこのようなものがありました!
どれも素朴なタッチで可愛らしいですね(n´v`n)
大津絵は歌舞伎にもしばしば登場するアイテムで、
「傾城反魂香」で絵師の浮世又兵衛が生業にしていたのがまさしくそれであります。
浮世又兵衛は確かな腕を持ちながらもハンディキャップがあり、
殿様お抱えの絵師になるのが難しく、おみやげものの絵を売って暮らしている…という
辛く切ない身の上の演出として使われていました(/_;)
このほか「ふすまや掛け軸の大津絵から抜け出してきた」という設定の舞踊作品が沢山残されています。
大津絵は、人々が足で旅をしなくなった明治時代には衰退してしまった文化ですが
なんだか懐かしいようなあたたかい気持ちになる素敵な絵がたくさんあります
今でも大津に専門店があるようですから、
ぜひ出かけてみたいものだなぁと思いました(n´v`n)