ただいま歌舞伎座で上演中の芸術祭十月大歌舞伎!
夜の部「秋の色種」について、少しばかりお話いたします。
何らかのお役に立てればうれしく思います(人'v`*)
虫の合方と「左脳」の関係
草花が咲き乱れ、虫の音が聞こえてくる…
そんな美しい秋の情景を歌った大変上品な長唄舞踊であります(n´v`n)
三味線の名曲としても大変有名ですが、
なかでもチン、チリ、リン…とはじまる「虫の合方」は聞きどころです。
チリチリ…と鳴く松虫の声を模したものと言われています。
「合方(あいかた)」というのは間奏の中でも長いパートを担う、三味線の聞かせどころのことです。
それぞれに曲の世界に合ったテーマを持って作られるものでありますが
松虫の声を元にしてこんなにも美しい合方を生み出す感性は
なんと素晴らしいものだろうと感激してしまいます。゚゚(´□`。)°゚。
実は、虫の音を「声」として認識できるのは
日本人とポリネシア人だけなのだそうですよΣ('0'o)
人間の脳は左右に分かれており、
右脳は音楽や雑音、左脳は言語を処理するといわれています。
左脳にはお話を理解したり、論理的に考えたりする機能があります。
この点においては、全人類が同じようです。
しかし、日本人とポリネシア人に限っては
虫の音を言語脳である左脳で「声」としてしっかり聞いているのです。
右脳で聞いている人々は、虫の音は騒音・雑音として処理しているようです。
日本人はほかにも川のせせらぎや風の音、
そして邦楽の楽器の音までも左脳でとらえているのだそうです。
西洋の楽器は右脳で処理するのに、邦楽の楽器は左脳で処理するというのは
とても不思議なことですね(´▽`)
これについては日本人かどうかというよりも母国語が日本語であることが肝心であり、
日本語の母音が関係しているのだそうですが、ややこしくなりますので割愛いたします。
歌舞伎の舞台では、
虫の声や風の音、鳥のさえずり、雪の音にいたるまで
邦楽器によって効果音として表現されています。
これほど自然の音が効果音として多様に表現されている演劇は
世界中を探してもなかなかないようですよ。
受け手が理解できなければ文化として根付きはしないでしょうから、
それを感じ取る感性が言葉とともにDNAの中に受け継がれてきたということなんですね。
日本語を母国語とする日本人たちが
長年にわたって培ってきた美しい音の世界…
この先もずっと大切にしていきたいものです(n´v`n)