ただいま歌舞伎座で上演中の
歌舞伎座百三十年
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎 襲名披露
壽 初春大歌舞伎
二か月続く大変にぎにぎしい襲名披露の興行、
テレビなどでもたくさん紹介され、注目が高まっています!
中でも大きな話題を呼んでいるのが、
新幸四郎さん、新染五郎さんの襲名披露狂言「勧進帳」
数ある歌舞伎演目の中でも屈指の名作であり、
まさしく”歌舞伎を代表する演目”と言っても過言ではないほど有名です。
上演を期に少しばかり、そのあらすじをお話しております。
非常に奥深い演目であるためほんのさわり程度ではありますが、
なんらかのお役に立てればうれしく思います。
富樫左衛門のモデル
源義経の伝説は現在でも謎に包まれています。
その伝説を描いた物語『義経記』などをアレンジした能「安宅」
そして「安宅」をさらに庶民にもわかりやすくアレンジした「勧進帳」…と
伝説に伝説が加えられ、感動的なフィクションが完成したというわけです。
実際、この物語の舞台となっている安宅の関についても
本当は山形県の鼠が関にあった念珠関なのではないか?という説もあるようです。
その後アイヌに渡って英雄 ハンガンカムイになったという伝説や、
チンギス・ハーン義経説などのおもしろげな伝説も次々飛び出し、
もはや何が何やらよくわかりません。
義経主従が安宅の関で出会う関守の富樫左衛門も創作のようですが、
彼にはモデルとなった人物がいるとされています。
それは中世後期の加賀守護家・富樫家のさむらいで、
富樫奏家(とがしやすいえ)という人物。
今から実に13年前の2005年に放送された
滝沢秀明さん主演の大河ドラマ「義経」のクライマックス目前の第47回でも、
勧進帳で描かれている安宅の関のエピソードが描かれているそうです。
この時に富樫泰家を演じていらしたのは名優・石橋蓮司さん。
NHKのインタビューによれば、石橋蓮司さんはこの場面を
日本人の心、武士の情の原型ともいえるシーン
とおっしゃっていたそうです。
弁慶役の松平健さんとのやりとりはさぞかし迫力満点なのでしょうね!
ぜひ見てみたいものだなぁと思いました。
しかしながら、
そもそも勧進帳の舞台が山形県の念珠関だったとすれば
このモデルも変わってくるのではないかと思われます。
念珠関周辺は富樫姓の方々が多い土地だそうですから、
ますます謎は深まるばかりです…ロマンを感じますね。
参考:世界大百科事典