1月の歌舞伎公演ももう全ての劇場が千穐楽を迎えましたが、
このすえひろはといえばいまだ「勧進帳」の興奮のなかにおります…。
弁慶についていろいろ思いめぐらしていると、
山伏ってどんな人たちだったのかなぁという疑問が湧いてまいりましたので
詞章の中から少しばかりではありますが調べてみました!
歌舞伎に直接関係はありませんがもしご興味がおありなら
お読みいただけたればと思います♪
勧進帳の詞章では…
長唄「勧進帳」の詞章では、
山伏問答のほかにも山伏について唄っている部分があります。
これは弁慶と四天王が最期のおつとめをするあたりの詞章です。
それ山伏といっぱ 役の優婆塞(えんのうばそく)の行義を受け
即身即仏の本体を 此処にて打ちとめ給わんこと
明王の照覧はかりがとう
熊野権現(ゆやごんげん)の御罰当たらんこと
たちどころに於いて疑いあるべからず
おん阿昆羅吽欠(あびらうんけん)と
数珠さらさらとおし揉んだり…
この中でも特に
「役の優婆塞(えんのうばそく)」
「阿昆羅吽欠(あびらうんけん)」
という2つのなにやらカッコいい響きを持つ言葉が気になったので、
この意味を調べてみました。
役の優婆塞(えんのうばそく)
まず役の優婆塞というのは、役小角(えんのおづぬ)という
飛鳥時代の呪術的な宗教家の別名だということがわかりました。
この人こそが修験道の開祖であり、大和国の葛城山にて修行。
五色の雲に乗って空を飛んだり、仙人の宮殿に行って仙人と仲良くしたり、
鬼神を仕えさせていたらしい…などという
ファンタジックな伝説を数々残しているそうです。
奈良県御所市ではこの役小角にちなみ
「計算力・思考力大会 算学修行 えんのおづぬ杯」という
小学生や大人が参加する計算コンクールが開かれているということもわかりました!
山岳→算額ということのようであります。
算数自慢のお子様方はぜひチャレンジなさってはいかがでしょうか。
阿昆羅吽欠(あびらうんけん)
「あびらうんけん」というのは、サンスクリット語の言葉
ア・ビ・ラ・フーム・カンavira hm. kham
の音を写して漢字をあてたもので、
真言密教で使われている呪文のようなものだそうです!
これを唱えることで、
真言密教では宇宙の本体そのものだと考えられている「大日如来」と
一体になることができる…と考えられていたとのこと。
弁慶達は最期のおつとめをこんな重要な言葉で締めくくり、
数珠をさらさらと押し揉んでみせたんですね。
富樫達もその迫力にはさぞや圧倒されたであろうと思われます。
ほんの少しですがこうして調べてみると
勧進帳の世界がぐっと立体的になるようですね(n´v`n)
参考:日本舞踊曲集成/朝日日本歴史人物事典/日本大百科全書(ニッポニカ)
伝統芸能シリーズ 日本舞踊曲集成 3 素踊り・歌舞伎舞踊補遺 編 (別冊演劇界)
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