ただいま歌舞伎座で上演されている
歌舞伎座百三十年
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎 襲名披露
二月大歌舞伎
新白鸚さんと新染五郎さんの襲名披露狂言
「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」について、
少しばかりお話したいと思います(人'v`*)
おかるに何があったか?
七段目の舞台は華やかな遊里・祇園一力茶屋。
ここでは遊女のおかるが登場しますが、実は彼女はもともと遊女ではありません。
仮名手本忠臣蔵は長い長いお話ゆえ、
まずはこの七段目にいたるまでにおかるの身に何があったのか
流れをとてもざっくりとご説明いたします!
ことの発端は 、
塩冶判官(いわゆる浅野内匠頭)が松の廊下にて
高師直(いわゆる吉良上野介)に斬り付けて、
塩冶判官は切腹、お家は断絶…という大事件。
塩冶家家老の大星由良之助(いわゆる大石内蔵助)をはじめとする家臣たちは、
主君の敵を討たんとその機会を伺っている…
しかし由良之助はなにやら遊興三昧のようす…むむむ…
という状況であります。
塩冶判官が高師直に斬りつけた事件の折、
お供つかまつっていたはずのさむらいがおりました。
その人物は早野勘平。
彼は色男で、当時腰元だったおかると恋人関係にあり、
たまたまデートをしていて主君の大事に間に合わなかった…!
という大失態を犯してしまったのです。
あまりのことに一度は死のうと決めた勘平でしたが、
おかるのとりなしによって
お百姓さんをしているおかるの実家に身を寄せ狩人をして暮らしていました。
が、おかるは愛する勘平さんを
どうかさむらいに戻して面目を立たせてあげたい、
そのためのお金を用立ててあげたい、という一心で
なんと自ら遊郭に身売りすることに決めたのです!
リアルな感覚で捉えるとなにやらギョッとしますが、
ものすごく恋に一途で勘平さん命な女性です。
現代に置き換えて想像すると、ザノンフィクションのような映像が浮かぶようです。
そういうことでおかるの売られていった先が、
七段目の舞台である祇園一力茶屋なのであります(´▽`)
おかるが売られていったその日、
勘平さんが思い違いにより切腹してしまうという痛ましい事件がありましたが
そんなこととはつゆ知らず懸命に恋を売っているわけです…
華やかでありつつもなんとも切ない場面です。