歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい於染久松色読販 その四 土手のお六の生業

ただいま歌舞伎座で上演中の三月大歌舞伎

夜の部「於染久松色読販」では、仁左衛門さんと玉三郎さんの名コンビがご共演。

先月からの二か月連続共演ということで大いに湧いています!

この記念に少しばかりお話をいたしますので、

なんらかのお役に立てればうれしく思います(人'v`*)

 

かかァ煙草と評判の

今月玉三郎さんがお勤めの土手のお六という役は、

江戸時代の名女形である五代目岩井半四郎が演じて評判を呼んだもの。

威勢が良くてあだっぽいワルな中年女性を表す

悪婆(あくば)」と呼ばれる役の代表的なものであります。

悪婆という役は、江戸時代の庶民たちのアウトローな暮らしぶりをリアルに描いた

生世話(きぜわ)物」と呼ばれるジャンルで存在感を発揮しました。

 

土手のお六はかつて吉原の土手で引手茶屋を営んでいたそうですが、

今は夫の鬼門の喜兵衛の賃粉切りを手伝い、

「かかァ煙草と評判」なのだそうです。お綺麗ですものね(´▽`)

 

江戸の町では9割もの人がスモーカーだったそうですが

もちろん今のように巻いたものではなくて、

葉を細かく刻んだものをキセルに詰めて吸っていました。

 

この煙管に詰める葉を細かく刻む

賃粉切りというお仕事があったそうなのです。

 

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(イメージ)

 

これは大元のたばこ屋さんから請け負ってくる下請けのお仕事ですから、

路地裏の長屋に住んでいる方や世を忍ぶ浪人の方など

比較的貧しい暮らし向きの方に多かったようです。

 

確かに土手のお六と鬼門の喜兵衛のおうちは

なかなかにおんぼろな雰囲気ですね。

葉っぱを刻むだけなら簡単そうに思いますが結構力のいる仕事だったそうで、

引火の心配もあったりして大変だったようです。

 

現代では葉たばこの農家の方々から

ひとのときを想うJTが一手に買い取るしくみとのこと。

ほんの200年程度の間に世の中が随分変わったのだなぁと驚き入ります。

 

参考:歌舞伎登場人物事典/朝日新聞/JT

歌舞伎登場人物事典(普及版)

歌舞伎登場人物事典(普及版)

 

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