ただいま歌舞伎座で上演中の
歌舞伎座百三十年
六月大歌舞伎!
昼の部は「妹背山婦女庭訓」「文屋」「野晒悟助」
時代物・舞踊・世話物という大変バランスの良い狂言立てで見ごたえも抜群です!
「妹背山婦女庭訓」は上演頻度も高く大変有名な演目ですので、
この機会に「三笠山御殿」の場面についてお話いたします。
芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!
飛鳥時代の政治改革が題材
妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)は、
1771年(明和8)の1月、大坂は竹本座で初演された人形浄瑠璃の演目であります。
その7ヵ月後に歌舞伎として上演されました。
この演目のモチーフとなったのは
さかのぼること一千年、飛鳥時代の「大火の改新」であります!
中大兄皇子・藤原鎌足らが中心となって蘇我入鹿ら蘇我氏を打倒することに始まった一大政治改革です。
歌舞伎のお約束としてやはり蘇我入鹿はとんでもない大悪人として描かれています。
こうした、奈良時代や平安時代の歴史を題材とした演目のことは
「王代物(おうだいもの)」「王朝物(おうちょうもの)」と呼ばれ、
妹背山婦女庭訓はその一大傑作として知られています。
さぞかし堅苦しい演目なのだろうなぁと感じられるかもしれませんが
タイトルにある「妹背」は仲睦まじい男女のこと、
「婦女庭訓」は女の子たるもののしつけ・教え…という意味ですから、
全編を通して男女の恋や女性たちの生き様というのがたいへんドラマチックに描かれています。
歌舞伎の演目、特に人形浄瑠璃文楽がルーツである演目では
女性たちが非常に強く、己の欲望に忠実で、とっても魅力的です!
情熱的な女性達の姿を「庭訓」として生きづらい現代を乗り越えていきたいですね(´▽`)
参考:新版 歌舞伎事典