ただいま歌舞伎座で上演中の
八月納涼歌舞伎!
第二部「雨乞其角」は歌舞伎の本興行においては初めての上演という演目ですので、
この機会に少しばかりお話いたします。
芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!
ある伝説にまつわる長唄舞踊
「雨乞其角(あまごいきかく)」は、
舞踊会などでおなじみの長唄舞踊の演目であります。
今回、歌舞伎を初めてご覧になる方も大勢おいでと思います。
一口に日本舞踊と言っても、実はいろいろな音楽のジャンルがあり、
それぞれに味わいが異なるのですが、
この演目の音楽は「長唄(ながうた)」というジャンルです。
もしかしたら、歌舞伎の舞踊で耳にする機会は一番多い音楽かもしれません。
長唄では今月第一部の「龍虎」で使われている義太夫とは違って、
細棹と呼ばれる三味線が使われています。軽やかで透明感ある音色が特徴です。
また唄の雰囲気も、どっしりと濃厚な義太夫とは異なり軽やかなので、
全体として非常に華やかな印象を受けるのが特徴です。
そもそも長唄というのは歌舞伎舞踊の音楽として
江戸で発展してきたものであります。
派手でリズミカルなショータイムの音楽とイメージするとわかりやすいですね。
対する義太夫は人形浄瑠璃の伴奏・セリフ・ナレーションすべてを兼ねる音楽として
上方で発展してきたものであります。
人形の世界に命を吹き込むためには、相当にエモーショナルである必要があります。
義太夫の濃厚さにも納得ですね。
今回初めて歌舞伎をご覧になる方は、
せっかくですので「龍虎」「雨乞其角」の二つの演目で
音楽を聴き比べるというのもおもしろいかと思います。
実はこの「雨乞其角」という演目は、
とあるおもしろい伝説がもとになっているそうです。
どんな伝説なのかについては、次回お話したいと思います!