ただいま歌舞伎座で上演中の
八月納涼歌舞伎!
第二部「雨乞其角」は歌舞伎の本興行においては初めての上演という演目ですので、
この機会に少しばかりお話いたします。
芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!
どこまでもシティーボーイな宝井其角
舞踊会などでおなじみの長唄舞踊の演目
「雨乞其角(あまごいきかく)」の元になったエピソードは
その二にてお話いたしました。
そもそもこの宝井其角(たからいきかく)という人物は、
10代半ばで芭蕉に弟子入りして俳諧を学ぶだけでなく、
あらゆる先生について詩学・漢籍・医学・絵などなどさまざま学んだ才人だったそうです。
さぞやカタブツなインテリであったのだろう…と想像しますが
実は15歳にして酒を楽しみ、わびさびよりも伊達を好む人物であったようです。
相当なお酒好きでお酒による失敗も繰り返したようで、
酒が過ると気ずいにならんして団十郎が出る
裸でかけ廻らんした事もあり。
それゆへなじみのよい客もみなのがれたり
などと「花見車」に書かれています。
芭蕉の死後は、より軽妙なテイストに拍車がかかり
とんちやシャレを織り交ぜた都会的な作風の句を詠んでいたそうです。
飲んで裸で駆け回る酒乱ぶりは嫌ですが、
とにかく頭が良くて、遊ぶ時はとことん遊ぶ、
相当に粋なあすび人だったようですね!なんだかカッコいいですね!!
余談ですが、
松尾芭蕉が幼児化し、俳句を作る時だけイケメンになる…
という奇想天外な漫画があるそうであります。
楠木ひかるさんの「芭蕉と曾良と◯◯と」という作品だそうです。
私は漫画にとにかく疎いので察しが悪くお恥ずかしい限りなのですが、
この流麗なイラストのどちらが芭蕉で、どちらが曾良なのか不明です…。
しかしながら、この漫画においても宝井其角は「華やかな色男」として描かれているそうであります!
どんなキャラクターなのか少し気になりますね。
雨乞いのエピソードはあるでしょうか?
とにもかくにも、江戸から続く日本人の倒錯好きなDNAと、
どこにでも楽しみを見いだそうとする前向きな姿勢には脱帽いたします。
参考:朝日歴史人物事典/ブリタニカ国際大百科事典