歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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やさしい盟三五大切 その五 深川芸者の心意気

ただいま歌舞伎座で上演中の

八月納涼歌舞伎

第三部「盟三五大切」は大変有名な演目ですので、この機会に少しばかりお話いたします。

芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!

 

深川芸者の心意気と女伊達

盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)は、

血みどろな物語を描いたら右に出るもののない大南北こと

四世鶴屋南北のスプラッターラブサスペンス作品であります。

 

主人公の浪人・薩摩源五兵衛は

愛して入れ込んだ深川の売れっ子芸者・小万とその夫から裏切られ、

関係者からなにからばっさばっさと斬り捨てるという

とんでもない惨劇を起こしてしまうわけですけれども、

そもそもこの芸者の小万にもモデルがいたようであります。

 

その方というのは、大坂北の繁華街であった曽根崎新地の

桜風呂の遊女・小菊さんです。

実は小菊さん、1736年(元文2年)の7月に薩摩藩士の早田八右衛門によって

無残にも斬り殺されてしまったという悲劇の人なんですね。

 

この方にさらに、型破りであり世の中にその名が轟くほどの男勝りぶりで知られた

大坂の有名な女伊達「奴の小万」という人物の要素をプラスして

キャラクター作りがなされているそうです。

 

江戸時代の深川芸者というのは、キリリと一本筋の通った

独自の美学を磨くかっこいい女性達が多かったそうですから

そのイメージのとおりに「小万」の名をつけたわけです。

 

 

余談ですがこの夏、大坂は道頓堀の

ちょうど大阪松竹座の並びに位置しますうどんの名店「道頓堀 今井」にて、

生まれてはじめてほんものの「五大力」の御札を見かけました!

こ、これは…!と思い興奮いたしました。

道頓堀今井のきつねうどんは関東の人間にとっては

おいしいの一言ではとても語りつくせないほど深淵なる味わいに感じられました。

お出かけの際はぜひ!!

 

参考:歌舞伎登場人物事典

歌舞伎登場人物事典(普及版)

歌舞伎登場人物事典(普及版)

 

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