ただいま歌舞伎座で上演中の
秀山祭九月大歌舞伎!
昼の部「金閣寺」は歌舞伎の定番といえる演目のひとつですので、
この機会にと少しばかりお話しております。
芝居見物の楽しみのお役に立てればうれしく思います!
悪さのスケールが違う「国崩し」
金閣寺という題名は実はお話の中のひとつの場面のことで、
元々は祇園祭礼信仰記という長い長いお話であります。
これまでざっくりとしたあらすじをお話してきました。
このお話には雪姫や東吉など魅力的な登場人物がたくさん出てきますが、
なんといっても強烈なのは極悪人の松永大膳です!
松永大膳のモデルは戦国時代の実在の人物・松永弾正久秀。
この人物もとんでもない人物のようです!
将軍足利義輝を殺害、その母慶寿院を自害に追い込み、主君を毒殺、
そして極め付けは奈良東大寺の大仏殿を焼き払ったというのですから、
こりゃ手が付けられない悪人だなぁと恐れおののきます。
おまけに色好み、キンピカ派手好みであったという逸話もあり
強烈な人物であったようですよ。
そんなモデルを持つ松永大膳は、
歌舞伎のお約束で「国崩し(くにくずし)」と呼ばれる役柄がつけられています。
天下を乗っ取りどうにかしてやろうと企むような、
猛烈な権力欲に支配されている極悪人のことであります。
公家悪というやんごとなき極悪人に用いる「王子」と呼ばれるかつらをつけます。
根元が少し逆立っている長髪のようなイメージですね。
そして白綸子などの立派な衣裳をつけているのが特徴です。
顔は白塗りにして、ものすごいくまどりなどはしていません。
国崩しの役は他に、
「新薄雪物語」の秋月大膳、
「伽羅先代萩」の仁木弾正などがあります。
どれもおもしろいほどの極悪人です。
他の演目もぜひご覧になってみてくださいね!
参考文献:新版歌舞伎事典/松竹歌舞伎検定公式テキスト