ただいま浅草公会堂にて上演中の
新春浅草歌舞伎!
松也さんを筆頭とする若手の人気花形役者の方々が
古典や新歌舞伎の大役に挑戦するという話題のお正月公演であります。
第一部で上演されている「源平布引滝 義賢最期」は、
松也さんが昨年に引き続いて仁左衛門さんのご指導のもとお勤めになっている演目です!
今回初めて歌舞伎をご覧になった方もおいでのことと思いますので、
この機会に少しばかりお話したいと思います。
何らかのお役に立てれば幸いです!
木曽義仲誕生の壮絶なドラマ
義賢最期(よしかたさいご)は、
「源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)」という人形浄瑠璃のお芝居の一部であります。
並木千柳・三好松洛という二人の作者による合作で、
1749年(寛延2)11月の大坂竹本座にて初演、
それから8年後の1757年(宝暦7)9月の大坂角の芝居で歌舞伎として上演されました。
「源平盛衰記」「平家物語」を元にして作られたお芝居である源平布引滝は
もともと全部で五段ありましたが、
二段目と三段目の場面がとくにおもしろくドラマチックであるようで
・二段目:義賢最期(よしかたさいご)
・三段目:実盛物語(さねもりものがたり)
として、それぞれ人気のある演目として上演されています。
義賢最期の場面はその名前の通り、
「木曽義賢(きそよしかた)の最期…!!」というもの。
つまり源義賢、幼少のうちに木曾に逃れた有名な木曽義仲のお父さんであります。
国立国会図書館デジタルコレクション
木曽義仲はのちに長野の北部で兵を挙げ、
倶利伽羅峠の戦いにて圧勝、平家を都から追い落とすスーパー武将となる人物。
義賢最期→実盛物語は簡単に言ってしまいますと、
木曽義仲生誕に隠された秘密とは…!?というような部分です。
ざっくりとした流れは、
1.木曽義賢は壮絶な死にざまを見せて亡くなってしまった…!
2.しかしその子を身ごもった妻の葵御前はなんとか逃げ延び、
3、平家のダンディな侍・齋藤実盛の情によって木曽義仲はおぎゃーと誕生、
4、縁あって将来の義仲の家来となる少年・手塚太郎が実盛と戦場で再開する約束をし
めでたしめでたし…というもの。
二つの古典作品を織り交ぜて、
なにやらとてもよくまとまったフィクションとなっているわけですね!
参考文献:新版歌舞伎事典