早いもので今日で二月もおわり…
歌舞伎座では初代尾上辰之助の江戸風情溢れる追善狂言が並び、
見ごたえたっぷりのひと月でありました。
なかでも繰り返し繰り返し拝見したのは夜の部「名月八幡祭」であります。
実をいいますと私はこの演目を苦手としていたのですけれども、
今月の上演を機に好きな演目のひとつに変わり、とてもうれしく思っております。
玉三郎さんの美代吉がまるで上村松園の絵の世界から飛び出してきたようで、
仁左衛門さんの三次さんとの良い意味でのチャラさに心躍りました!!!
クズなのですけれども可愛げがあり、江戸の町のイケてる人達というのは、
きっと本当にこんな感じだったんじゃないかなあ…と
いきいきと思わせてくださるようなもので、
そのお二人と並べてみる松緑さんの新助さんは純情ぶりが際立ち、
これまで新助さんという役柄を非常に重い男性としか思っていなかったのですが、
芝居の世界がぐっと奥行きを持って感じられました。
「芝居がたのしい」という体験は、
演目の内容がおもしろいとか役者がうまいといった一面的なことではなくて、
全ての要素が化学反応して感じられるものなんだなあ奇跡だなあと
改めて実感いたしました。これだから芝居見物はやめられません。
明治時代の浅草が!
また、大河ドラマの「いだてん」も毎週欠かさず拝見、
「欠かさず」どころか、週に2度は拝見しております!
勘九郎さんと獅童さんの兄弟愛には泣かされましたね…!
公式サイトでは、いだてんの世界を360度のCGで楽しめるという企画が…
これは1912年の浅草の風景、
人々が行き交い、演芸場や活動写真なども見えて、
いかにもおもしろそうな雰囲気です。
下町育ちの私のご先祖様も、このあたりで楽しく過ごしていたのだと思います。
ちょうどこれと同じ時期、同じ台東区に位置する下谷二長町の市村座では、
若き六代目菊五郎や初代吉右衛門が大活躍し評判を呼んでいたようですよ!
この360度CGでは見えないのに、 どうにかして見えないものかと
ぐるぐるぐるぐる回してしまいました。
そんな街を勘九郎さんと獅童さんが、
いままさに時空を超えて歩いているんだ…!!!と思うと、
えもいわれぬ興奮が押し寄せて脳みそがブワーッと沸き上がるようです。
お二人のご先祖様や過去の名優たちも、草葉の陰からお喜びかもしれませんね。
さあ、来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。
楽しみに今日は休みたいと思います。