先日、歌舞伎座へ出かけまして、
四月大歌舞伎の昼の部を拝見してまいりました!
4月とは思えない寒い日が続いておりますね。
この時期は客席も肌寒いことがあるので、
風邪を引かぬよう注意せねばなあと思います。
一幕目の「平成代名残絵巻」は、平成の時代がおさまり、
新しい時代が始まることを祝うオリジナル演目です。
のちの義経である遮那王をお勤めの児太郎さんと、
平知盛をお勤めの巳之助さんが両花道でそれぞれに決まる場面。
彌十郎さんの「魁競う時分の花…」というセリフもあり、
平成生まれの方々が新しい時代へ飛躍していく象徴のように感じられました。
舞台で若いお二人を見守る福助さん・彌十郎さんもまた
昭和が終わる頃には2~30代で、平成の30年間に大きくご活躍されたわけですね。
続きつつ生まれ変わる「時代」というものの壮大さを感じ、圧倒されました。
また新元号の「令和」がセリフや音楽の詞章に取り入れられていて、
そのたびに客席がわっと盛り上がっていました。
きっと台本などでは新元号の部分が保留となっていて
1日の昼に急ぎ伝達が行われ、2日の初日を迎えられたのでしょう。
舞台の上は源平の世ということになっているのだけれども、
題名は平成で、セリフには令和というカオスが、
今を生きるエンタメである歌舞伎のおもしろさだなあと思います。
二幕目の「新版歌祭文」は今回、
「野崎村」の場面の前に「座摩社」の場面が上演されました。
又五郎さんが生き生きとして、まるで文楽を見ているようで
たいへんおもしろく、声に出して笑いました!
悲しい野崎村の前にはこんなことがあったんですね。
義太夫狂言では、非常にシリアスな演目であっても、
何かしら笑えるもの、それもお金や色事などなど
かなり下世話な内容がプラスされているのがおもしろいですよね。
伝統芸能というとお堅いイメージを持たれがちですが、
こうしたおもしろさも満載であるという点は
ぜひとも広く知られてほしいところです。
三幕目「寿栄藤末廣」は坂田藤十郎さんの米寿記念の舞台とのこと。
とにかく美しく華やかで、米寿とは思えぬみずみずしさ…
いつまでもお元気なお姿を拝見したいと願っております。
最後の幕は「御存 鈴ヶ森」
菊五郎さんの白井権八と吉右衛門さんの幡随院長兵衛という
カッコいいにもほどがある配役で、しびれにしびれました…!
駕籠から白井権八をじっと見ている幡随院長兵衛の横顔、たまらないですね。
余談ですが、暗闇で雲助たちを次々と斬ってゆく権八を見ていて
近ごろyoutubeで流行っているという「気配切り」なるものを思い出しました。
お互いに目隠しをした状態で、相手の気配だけを手掛かりにウレタン棒で斬り合う…というものです。
江戸時代の人々とネット社会を生きる現代人は、
案外似たようなことで笑っていたんだなあと親しみを覚えます。
昼の部は演目が4つということで、かなりボリュームがありました!
一幕目が11時台に終了しそこから30分の幕間を挟んで2時間の芝居、
そのあとは30~40分の演目2つに15分の幕間が2回、
そして終演は16時近くになりますので、
一度目の幕間でしっかりとエネルギーを補給した方がよさそうです。