先日のお話ですが、国立劇場小劇場へ出かけ
文楽5月公演「通し狂言 妹背山女庭訓」の第二部を拝見してまいりました!
第二部では歌舞伎でいうところの
「吉野川」や「三笠山御殿」といった名場面も上演され、
第二部だけでも15時45分から21時近くまで実に5時間、
ボリューム満点の公演でありました。
歌舞伎でいうところの「吉野川」の場面は妹山背山の段。
上手には背山を語る本床、そして下手には妹山を語る仮床が設置されており、
右も左も真ん中のお人形も…といつも以上にキョロキョロしながらの見物です。
両家の不和を象徴するような吉野川を隔てて恋しあう子供たちと、
子を死なせなければならない親たちの葛藤が苦しく、
上手下手の床の一文字ずつの掛け合いや同時に語る部分の演出の力に圧倒されました。
歌舞伎の舞台ですとどうしても役者さんばかり見てしまいますが
語りと三味線をじっくり堪能することでいつも新たな発見があるように思います。
また、酒屋の娘のお三輪と高貴な橘姫が
求馬実は藤原淡海をめぐって繰り広げるバトル「道行恋苧環」のおもしろさ…
有名な「女庭訓しつけ方よう見やしゃんせ」のくだりは気持ちが盛り上がりました。
女庭訓とは、女の子としての教訓の書かれた修養書。
「やーねあなた、女庭訓を読んだことあるの?」などといいながらも、
ぐいぐい押したり、ドーン!と突き飛ばしたり
やはり文楽に出てくる女性はものすごく強いよなあ~と思いました。
お三輪だけがお転婆なのではなくて橘姫も結構強いのが興味深いです。
歌舞伎の女形の型よりも江戸時代のリアルな女性像に
近かったのではないかなあと想像しています。
生き生きとしていてとても魅力的に思います。
自分にとっては文楽は歌舞伎よりも集中力を要するものであるため、
拝見するたび脳がフル回転してふらふらになります。
この疲労感がまた心地よく、癖になってしまうのだなあと思いました。
次回はどんな演目が拝見できるのか、非常に楽しみです!