歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【うちで過ごそう】youtubeで三月大歌舞伎 新薄雪物語を拝見して…

緊急事態宣言が発令されてしばらく経ちますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

すえひろはといえば、松竹チャンネルや国立劇場チャンネルで無料公開されている動画をむさぼるように拝見しながら日々を過ごしております。

このような日々にあって歌舞伎を見ることができるよろこびたるや尋常でなく、無観客にて収録を行い芝居の映像を届けてくださったことには、ただただ感謝の思いでいっぱいです。

せっかくですので毎月劇場へ出かけていた時と同じように、備忘録として感想を残していきたいと思います!

三月大歌舞伎 新薄雪物語

今回の配信動画の中でも特に心待ちにしていたのは「新薄雪物語」であります。

あえて言うまでもなく仁左衛門さんの園部兵衛と吉右衛門さんの幸崎伊賀守が素晴らしすぎて素晴らしすぎて素晴らしすぎて、この事態が無事に終息したら是非に再演していただきたい、肉眼で見たい…!そのためにもできうる限り家の中にとどまり、これ以上感染を拡げないよう努めなくては…!!!という思いでいっぱいになりました…。

 

特に感動したのは仁左衛門さんの園部兵衛が幸崎伊賀守より託された刀を見てその意図に気づいた後のスローモーションのような細かな表情の変遷、吉右衛門さんの幸崎伊賀守が左衛門を追い返す声、園部兵衛と梅の方の別れ、そして園部兵衛の笑いを受けたあとの幸崎伊賀守の、言葉では表現しようのない笑いであります。

それぞれに込められた感情の複雑さに圧倒され、新薄雪物語という芝居はこんなにおもしろかったんだな…と改めて思いました。震えるようでした。

 

もちろん今回の配役の素晴らしさはお二人だけでなく、舞台を構成している方々それぞれ何度拝見しても新しい発見があります。

例えば芝翫さんの妻平の立ち回りなどほぼ浮世絵であり、我が家の何の変哲もないiPadが浮世絵になってしまったかのようでした。舞台ですと妻平の姿ばかりオペラグラスで切り取ってしまうため、花道にいる水奴の方たちがじりじりとキャタピラのような去り方をしているのも存じ上げませんでした。一体どうやったらこのようなおもしろい演出を思いつくのか、驚かされるばかりです。

生の舞台に勝るものはありませんが、ちょっとした動きや表情の移ろいをつぶさに見ることができ、また巻き戻して何度も何度も繰り返して拝見できるのは映像ならではの良さですね!困難なときだからこそ、今あるものを最大限に楽しみたいものです。

 

何を隠そうこの三月大歌舞伎昼の部は、仁左衛門さんと吉右衛門さんのご共演を楽しみにチケット代をかなり奮発しておりました。

映像を見ながら、あああここのあたりの席が取れていたな…などと思って切なくなりかけましたが、映像を公開してくださったおかげで能力を超えた想像力が発揮されそのアングルからの映像を脳内再生して乗り切ることができました。本当にありがたい限りです…!

 

余談ですが、このyoutube映像を最大限楽しみたく、自宅で少しでも劇場気分=非日常を味わうためにはどうしたらよいか…と考えて試したことがいくつかございます。

①少しばかりよそ行きを着て軽くお化粧など施してみる。

②日常を過ごしている定位置以外の場所を視聴ポジションとしてみる。

③膝にオペラグラスを置く。

④動画と動画の間を「30分の幕間」としてお手洗いに行き、熱いコーヒーなど淹れて慌てて飲んでみる。なおかつ歌舞伎座で流れていた館内放送をできるだけ具体的に想像し、5分前にブザーを鳴らしてみる。

(館内放送というのは緞帳の紹介、イヤホンガイド・字幕ガイドの案内、「花篭食堂をご予約の〇〇様…ただいまのお時間がお食事時間でございます」などですね。こう書いている傍から懐かしくって泣きそうです)

…などなど。

どれも本当に些細なことなのですが、意外とストレス発散の効果があったようで、劇場が恋しく鬱屈とした気分が少しばかりスッキリしました!ぜひお試しになってみてください!

 

新薄雪物語」の配信は4月26日(日)23:59:59まで。

せっかくの機会、どんどんシェアして楽しいおうち時間を過ごしましょう!

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