歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【うちで過ごそう】youtubeで国立劇場 義経千本桜Bプロを拝見して…

緊急事態宣言が発令されてしばらく経ちますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

すえひろはといえば、国立劇場チャンネルで無料公開されている動画をむさぼるように拝見しながら日々を過ごしております。

このような日々にあって歌舞伎を見ることができるよろこびたるや尋常でなく、無観客にて収録を行い芝居の映像を届けてくださったことには、ただただ感謝の思いでいっぱいです。

せっかくですので毎月劇場へ出かけていた時と同じように、備忘録として感想を残していきたいと思います!

国立劇場 義経千本桜Bプロ

今回は国立劇場の3月歌舞伎公演で上演されるはずであった「義経千本桜 Aプロ」の感想を…

三大狂言のひとつに数えられる名作中の名作「義経千本桜」の三つの大役すべてを菊之助さんが通してお勤めになるという、大変に記念すべき公演でありました。42歳とお若く体力もあり、今後のご活躍を楽しみにするうえで絶妙なタイミングでもありました。

 

そして菊之助さん以外の出演者の方々にとっても、大作の大きな役を人によっては何役もお勤めになる貴重な機会のはずでした。きっと大きな評判を呼び、劇場ロビーはわいわいと賑わい、何年にもわたって語り継がれるはずであったと思われます。

悔しくて悔しくて仕方がありませんが、小劇場での上演であったところを期せずしてこうした形でたくさんの方の目に触れることが叶った、思い出を話し合える方が増えたと前向きにとらえたいところであります。

 

Bプロの内容は「椎の木・小金吾討死・鮓屋」。悪党と思われたすし屋の倅・いがみの権太が、実家に匿われている平維盛を、なんとも悲しい方法で落ち延びさせるという話であります。重々しいさむらいの世界のお話であったAプロから一転して、市井の人々の暮らしのなかで起こるドラマを描く世話物の味わいです。

 

権太の演じ方にはとにかくカッコいい江戸のスタイルと、田舎の憎めないならず者として描く上方のスタイルとあり、菊之助さんは音羽屋に伝わる江戸スタイルの権太を初役でお勤めになっています。

このすえひろの見物歴と脳内のイメージは上方の仁左衛門さんのいがみの権太にかなり偏ってしまっていまして、江戸の権太についてはいろいろな方で何度か拝見してはいるもののなかなか追いつかずにいるのですが、今回の菊之助さんの権太の随所随所で菊五郎さんの権太の記憶が生き生きとよみがえってきて、カッコよさにしびれました。

 

四月のはじめにははるばる横須賀に出かけて仁左衛門さんの権太を拝見する予定であったのですがそれが叶わず、菊之助さんの権太を通じてこれまで拝見した名舞台の数々を思い出せたことをとてもうれしく幸せに思いました。

梅枝さんの維盛さまもすばらしく、橘太郎さんのお母さんも二度見して数回巻き戻すほど可愛らしく、また必ずこの配役で拝見したいものであります。

 

 

そして…あまり内容と関係ない事柄ではありますが、椎の木の場面で床几に招き猫が置かれているということに初めて気がつきました…かわいいです…。権太と小金吾が一触即発になる場面で、ちょうど二人の真ん中に招き猫がいるものですから、なんだかついつい気を取られてほっこりとしてしまいます。

初めて認識したため、ちょっとどなたの権太の時には置かれていてどなたの権太の時には置かれていないのかもよくわかりませんが、個人的にはかなり気になるトピックでした。

 

国立劇場 義経千本桜 Bプロ」の配信は4月30日(木)15時まで。

せっかくの機会、どんどんシェアして楽しいおうち時間を過ごしましょう!

チャンネル:国立劇場

動画タイトル:【期間限定】国立劇場 歌舞伎『義経千本桜』Bプロ 椎の木・小金吾討死・鮓屋  KABUKI “Yoshitsune Senbon Zakura” Program B

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