早いもので、今月も今日でおわり…先月は一日が終わるのがやけに長く感じられたものですが、今月は毎日きちんきちんと頭が切り替わることもなく飛ぶように過ぎ去ってしまったように思います。
鬱々としつつも慣らされてしまうというのは、なんだか恐ろしいものだなと感じます。
歌舞伎のない日常で
今日までに新型コロナウイルスの感染症により亡くなられた方は世界中で22万人に。その数はたった2週間で倍増したそうで、このすえひろも不安な毎日を過ごしております。
歌舞伎界でも2020年最大のニュースとなるはずであった十三代目團十郎白猿襲名披露の延期が発売直前に発表され、五月・六月・七月の歌舞伎座公演は白紙となってしまいました…
松竹株式会社、歌舞伎役者の方々の暮らしはもちろん、演奏家の方々や、舞台を支えるお仕事に携わる方々、劇場の係員の方々が今どうなさっているのか、気がかりでなりません。すべての方に充分な補償がなされることを望みます。
そうは思っていても、日々歌舞伎のことを考え楽しみにすることくらいしかできず、なんら直接的なことができないのは歯がゆいものです…。。苦しいのは歌舞伎界ばかりでなく、自分自身の暮らしも不安であり、どうしようもない鬱々とした思いに打ちのめされてしまいます。
しかし、本当にうれしくありがたいこともありましたね!中止となってしまった歌舞伎座や国立劇場などの三月公演の舞台映像を、youtubeにて公開してくださったことであります。
無料とは思えぬ衝撃のボリュームに、感激しきりでありました。この計らいで歌舞伎に興味を持たれた方が増え、芝居仲間が増えたらとてもうれしいです。
改めて見るとド派手すぎる定式幕、まもなく芝居が始まるときのズズ…と幕が擦れる音、内臓に響くような三味線の音、懐かしい役者さんの声、お約束の数々で織りなされる物語の世界…めくるめく快楽がそこにあり、歌舞伎ってなんておもしろいものなのだろう…と胸が熱くなりました。
これまで日常のなかにあった歌舞伎が遠く懐かしいものになってしまったことで、改めてその日常の豊かさを思い知ったように思います。
そして動画をむさぼるように拝見していたある日の晩、突如として「見たかった、悔しかった、悲しかった、残念だ」という思いが沸き上がってきて、さめざめと泣きました。
公演中止のご案内に並ぶ「楽しみにしてくださったお客様には誠に申し訳ございません」というような言葉がつらくてたまらず、「これは仕方がないことだ、どなたも悪くないことだ」と都度気持ちを切り替えてきました。
そうして自分の気持ちに蓋をしてやり過ごしてきましたが、確かに私は一つ一つの公演を心の底から楽しみにして切符を買っていたのです。そういった気持ちそのものまでも自ら無かったことにしては、歪が生まれてしまうんだなあと実感した次第です。
さまざまなジャンルでこうした悲しい気持ちを抱えている方が、世界中においでのことと思います。どんなに世界が大変でも自分はとにかく残念な気持ちだったんだ、と思った方が、精神衛生上良い場合もありそうですので、あまりご無理なさらないよう…。適宜悲しみを発散しつつ、この長期戦を乗り越えてまいりましょう。
ああでもないこうでもないと芝居仲間と感想を述べたりしていた日々、芝居の予定のある一日、芝居の予定のある一週間、芝居の予定のあるひと月が恋しくてたまりません。とにもかくにも、一日も早い収束を願ってやみません。
すみません、つい湿っぽくなってしまいましたが、朗報もありました
松竹演劇部のTwitterアカウントで、web会議や近ごろ巷に流行る「オンライン飲み会」なる催しでも使用できるバーチャル壁紙を配布してくださっているようです!
【#歌舞伎座 】
— 松竹演劇部 (@shochiku_stage) 2020年4月28日
ビデオ通話で歌舞伎座気分♪
テレワークやWeb会議に使える背景壁紙を配布致します。
①歌舞伎座正面玄関
②定式幕
③大間
④客席
※画像の商業利用、加工、再配布はご遠慮ください。#歌舞伎 #kabuki #壁紙 #バーチャル背景 pic.twitter.com/kcW3FgvYx3
これは…!!たまらなくうれしいですね!!!この晴れやかさ、華々しさ…なんだか堂々たる大物感が醸し出せそうな背景でもあります。
このすえひろなど本人が背景のインパクトに飲みこまれて消滅してしまいそうですが、せっかくのお志ですからどしどし使用し、懐かしい歌舞伎座に思いを馳せたいものですね。
明日からはじまる五月が一体どうなってしまうのか全くもってわからぬ状況ですが、Stay at homeを徹底し、こまめな手洗い、ソーシャルディスタンスの厳守を私たちひとりひとりが守ることができれば、必ずや現状を打破できるものと信じています。
いつか歌舞伎を見られる日を楽しみに、今日は休みたいと思います。
皆様も何卒ご自愛ください。おやすみなさいませ…