歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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youtube 文楽「仮名手本忠臣蔵」第一部を拝見して…

ついに緊急事態宣言が解除されましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

このほのかな解放感とは裏腹に、八月末~九月の巡業中央コースの全公演中止が発表されてしまいましたね…。。

県をまたいでの公演である点や、直接管理できる劇場とは異なり対策が難しそうな点など考えますと、中止はやむを得ないことなのかとは思います。

 

しかしながらこの巡業を心のよりどころとしておりましたため、結構本格的に絶望してしまいまして、うろたえております。。。同じような心境の方も大勢おいでのことと思います。

私は本当にありがたいことに新型コロナウイルス感染症にり患することなくこの流行を乗り越え、元気に日々を過ごしております。

しかしながらこのままこの生活が続くとなりますと、一体なんのために生きているのかよくわからず、目的を見失ってしまいそうです。自分にとって歌舞伎はただの趣味ではなくて生命維持装置そのものであったなと思い知らされます。

亡くなられた方やご家族の心中、医療従事者の方々、社会のために働く方々を思いますと、そのようなことを思ってしまうこと自体がぜいたくで傲慢なことなのだろうと思い、情けなくやるせなくなり泣けてきます…。

 

今はとにかく、今週金曜日の幸四郎さんと松也さんの生配信だけが心のよりどころです。幸四郎さんには「歌舞伎の予定」を作ってくださったこと、本当に感謝しきりであります。

 

このようにして一気に沸き起こってしまったネガティブ感情を振り払うべく、youtubeで期間限定公開中の文楽公演「仮名手本忠臣蔵」第一部を拝見してみました。

備忘録代わりに少し感想をしたためておきたいと思います。

youtube 文楽公演「仮名手本忠臣蔵」第一部

平成31年4月国立文楽劇場で行われた文楽公演「仮名手本忠臣蔵」の公演記録映像のダイジェスト版が、現在国立劇場のyoutubeチャンネルで期間限定公開中です。

仮名手本忠臣蔵」は通して拝見しますと腰がバキバキになってしまうボリュームですので、おうちでくつろぎながら拝見できるのは非常にありがたいことです。

 

仮名手本忠臣蔵」は歌舞伎でもおなじみですが、そもそも文楽から歌舞伎に移したものであり、文楽のものを拝見しますと独特の演出や、歌舞伎役者の方の独特の体の使い方などが納得できます。また、歌舞伎の舞台ではなかなか上演されない場面も文楽では上演があり、ああなるほどこうなっていたのかという発見もたくさんあります。

ですので、「歌舞伎の忠臣蔵は把握しているが文楽はまだ見たことがない」という方には特にこのダイジェスト版のご視聴をおすすめいたしますー!

 

ダイジェスト版の第一部は、大序~四段目。物語の発端から、松の廊下、塩冶判官切腹、城明け渡しまでであります。

すえひろは文楽を拝見する際、ついつい床の方ばかり注視してしまうので、人形遣いの方の表情がばっちり拝見できる今回の記録映像は非常に新鮮でした!

特に松の廊下の師直の高笑いなどは大いに興奮いたしました。吉良邸のある両国の近くで育ちましたので、つい高師直には思い入れを持ってしまいます。とても嫌なやつなのだけれども、憎み切れない愛嬌と品を残す魅力的なキャラクターですよね。

 

また、歌舞伎では見られない(確かそうだったと思う)、おかると勘平の逢瀬「文使い」の場面も面白いですね。おかるが勘平の手をスリスリしているさまなど、やはり文楽の女性像はすごいなと圧倒されます。

ジェンダー論に関する考察は特に持ち合わせておりませんが、文楽にはものすごく積極的で、時には強くて、強烈でカッコいい女性がわんさか出てきて、歌舞伎の女形とはまた違った魅力があります。どちらも大好きです。

 

動画は下記のタイトルで、6月1日(月)12時まで期間限定で公開されています。

まだまだ時間がありますので、ぜひにとおすすめいたします!

動画タイトル:【期間限定】文楽『仮名手本忠臣蔵』第一部(大序より四段目まで) BUNRAKU “Kanadehon Chushingura” Acts 1-4

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