歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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youtube 文楽「仮名手本忠臣蔵」第二部を拝見して…

なんだか気を抜けない日々が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

すえひろはといえば、芝居の再開を待ちわびながら、youtubeで期間限定公開中の文楽公演「仮名手本忠臣蔵」第二部を拝見いたしました。

備忘録代わりに少し感想をしたためておきたいと思います。

youtube 文楽公演「仮名手本忠臣蔵」第二部

平成31年7・8月国立文楽劇場で行われた文楽公演「仮名手本忠臣蔵」の公演記録映像のダイジェスト版が、現在国立劇場のyoutubeチャンネルで期間限定公開中です。

仮名手本忠臣蔵」は歌舞伎でも大人気の演目で数々の名場面が繰り返し上演されていますが、そもそも文楽から歌舞伎に移したものでありますため、芝居全体のつくりであったり歌舞伎役者の方の独特の体の使い方などが納得できます。

ですので、「歌舞伎の忠臣蔵は把握しているが文楽はまだ見たことがない」という方には特にこのダイジェスト版のご視聴をおすすめしたく思います!

 

 

ダイジェスト版第二部は、五段目~七段目。二つ玉、勘平切腹、そして祇園一力茶屋…という、ちょうどおかる勘平カップルの顛末をたどる場面であります。歌舞伎ではこの一連の場面に役者さんのエモーショナルな見せ場がこれでもかと詰まっているため、私は見るたびに感極まってしまいます。

 

そもそも文楽から歌舞伎に移したもの…と先ほど申したばかりですが、映像では二つ玉の定九郎が歌舞伎の仲蔵スタイルになっていましたね!

仲蔵スタイルというのはつまり、月代の伸びた着流しの浪人の出で立ちということであります。

①江戸時代、中村仲蔵という門閥外の役者が、

②お客さんが舞台を真剣に見ずランチタイムとしてしまうような幕の端役・定九郎を与えられ、

③野暮ったい山賊の衣装が慣例だったところを、黒い着流しで月代を伸ばした浪人の衣装に工夫してみたところ、

④これが大評判となり大出世しましたとさ…

という落語でもおなじみの立志伝で、この演出は現在まで受け継がれています。

文楽でもやはり仲蔵のスタイルはカッコよいなあと思いましたが、映像中の解説のテロップには「山賊」とクールな紹介がされていておもしろかったです。

過去の文楽の映像を探りますと山賊スタイルの定九郎も見ることができますので、ぜひいろいろチェックなさってみてください。

 

また、今回のダイジェスト版では登場場面だけでしたが、七段目では平右衛門を語る太夫が特別の衣装でひとり上手側のポジションから語るのがおもしろいですよね!

このダイジェスト版で映されている公演ではありませんが、以前生で仮名手本忠臣蔵の通しを拝見した際、平右衛門の太夫の登場で客席がひときわ盛り上がっていたことが思い出されます。

この決まりは一体どういったいわれのあるものなのでしょうか。

調べておらず全くわかりませんが、もしかしたら平右衛門役で右に出るもののないスター太夫などが過去にいらして、お約束になったのかな?などと想像してわくわくしております。勝手な妄想ですが。

 

動画は下記のタイトルで、6月1日(月)12時まで期間限定で公開されています。

まだまだ時間がありますので、ぜひにとおすすめいたします!

動画タイトル:【期間限定】文楽『仮名手本忠臣蔵』第二部(五段目より七段目まで) BUNRAKU “Kanadehon Chushingura” Acts 5-7

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