歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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図夢歌舞伎 忠臣蔵 第二回を拝見して…

先週の土曜日、7月4日に上演された図夢歌舞伎 忠臣蔵 第二回

図夢歌舞伎とは、リモートでの生配信や事前収録映像を駆使したオンライン上演スタイルの歌舞伎。もちろん歌舞伎の長い歴史で初めての試みであります!

 

前回の第一回でいろいろと気になる点があり、生意気な感想を述べてしまったのですが…

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今回の第二回は非常にグレードアップしていて心から感動いたしました…!!

アーカイブ視聴も終わってしまいましたので、忘れてしまわぬよう感想をしたためておきたいと思います!

 

なんと…今回は竹本入り!!

まず今回は冒頭に、かつて撮影されたものと思われる客席から見た舞台の映像が使われていて、芝居見物のムードがぐんと高まりました!この演出は演目によってできるものとできないものがあるかと思いますが、家にいながらにしてこうした気分を味わえるとてもうれしい演出でありました。興奮しました。

 

図夢歌舞伎の第二回は、仮名手本忠臣蔵 四段目が描かれたパートであります。

四段目といえば塩冶判官切腹の場ですから、数ある歌舞伎演目の中でもとりわけ静けさやそれにともなう緊張感が重要になるわけで、どのように演出されるのかな~と楽しみにしておりましたが、

今回はなんと音楽に竹本の太夫と三味線が加わっていました…!!(太夫は東太夫と記憶しております)義太夫が大好きですので、こちらもかなり興奮しました。

 

前回の図夢歌舞伎 第一回の映像では、初めてご覧になった方がおもしろいシーンなのか緊迫したシーンなのかはかりかねるのではないだろうか…と思われる節もあったのですが、

今回は三味線のベン…という一音が入るだけで、一瞬にしてこの場のシリアスさが伝わったように思われ、映像全体が奥行を持ちつつグッと引き締まっているのを感じました。動きにマッチした三味線の音のおかげで幸四郎さんと染五郎さんの芝居が立体感を持ち、より一層厚みのあるものに見えたのではないかと思います。

やはり三味線の音は単なるBGMを超えた、欠かせないものなのですね…!

そのうえで繰り広げられるお二人の美しいお顔のドアップに次ぐドアップというのはもう夢絵巻のようでしたね…最前列からオペラグラスで眺めているようなぜいたくな体験でした。。

 

また、カメラワーク、音声・照明を含む映像全体のクオリティなどもかなりグレードアップしていて、集中力がずっと保たれたまま、むしろ夢中で拝見することができました!

特に由良之助が登場してからの画面の切り替わりや、事前収録映像と生のリモート共演など緊迫感があり、映像の不自然さも感じず素晴らしかったです…。。塩冶判官も由良之助もどちらも幸四郎さんであるのにそうは見えない、芸の奥深さまでも堪能することができ、感無量でありました…。

 

そして最後の城明け渡しの場面は絶対に劇場では見ることができない、由良之助の正面のからのカットでたいへん興奮いたしましたが、これはまさに舞台を見ながら脳内にイメージしていた映像そのものであったことにも大いに感動いたしました。

劇場でこの角度に座ることは叶わないのですが、私はまさにああいった映像を思い浮かべながら引っ込んでゆく由良之助を見ていたことに気が付きました。幕見席や三階席から、小さな由良之助を眺める時にもです。

 

このカットによって、私はこれまでただ単に舞台の上にあるものを目で見ていたのではなくて、いろいろなアングルからの映像や心情を想像しながら芝居を見ていたのだなあ…という非常に重要なことに気が付かされたように思います。

そのため記録映像などから舞台と同じ感動を得るのはなかなか難しかったのですが、もしかしたら図夢歌舞伎ではそれが叶うのかもしれない…と猛烈に期待が高まった次第です。

 

 

とにもかくにも、たった一週間のうちにここまで練り上げられた作品を見せてくださったことに感じ入り、新たな取り組みとして応援したいという思いをますます強くいたしました。

来週の第三回はどのような作品になるのか、今から楽しみでなりません!

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