東京では7月とは思えぬ肌寒さですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
このすえひろはといえば、今日の昼間にもたらされた三浦春馬さんの訃報に大きなショックを受けております。こうした時にはどうしてもなぜと思ってしまいますが、ご本人の苦悩や事情はよそからはとても計り知れないものであり、どうか安らかにと祈ることしかできません。
ただ、ご出演のミュージカル「キンキーブーツ」を拝見したいと再演を夢見ておりましたが、これは叶わぬ夢となってしまいました。今後も様々な方がお勤めになると思いますし、映像は入手できるかもしれませんが、三浦春馬さんのキンキーブーツを肉眼で拝見したかったのです。
この後悔を忘れることなく、舞台の上の一瞬一瞬を大切に拝見したいと思いまます。
本題に入りますが、近ごろ読んだ書物のなかからおもしろかったものやお役に立ちそうなものを備忘録を兼ねてご紹介いたします。何らかのお役に立てればうれしく思います。
「大阪-都市の記憶を掘り起こす」加藤 政洋 著
今日は、歌舞伎と少し離れますが「大阪」にまつわるご本を。
例年7月は大阪松竹座で歌舞伎公演が行われていますが、今年はコロナで公演そのものが中止に。大好きな大阪に行きたい思いを少しでも昇華させるため、こちらの本を読んでみました。
人文地理学者で立命館大学文学部教員の加藤政洋先生による2019年春のちくま新書です。キタとミナミの違いや梅田の巨大地下街、商都・船場、飛田新地や釜ヶ崎といったディープなエリアなどが、著者の役10年間にわたるフィールドワークに基づいて考察されていきます。
この本のおもしろいところは、織田作之助や宇野浩二をはじめとする近代の小説家たちがしたためた「大阪」の描写からも、現代の大阪の都市構造が考察されていく点です。
近代は大坂の商いを描いた浄瑠璃の世界と現代との中間地点のように感じられ、移ろっていく街のようすに思いを馳せました。また直接的な言及はありませんが、関西での歌舞伎低迷がどういった空気の中で起こっていたかを考察するのにも役に立つ書物であるなと感じました。
読みながらまさに大阪の街を旅しているような気持ちになりますし、きらきらと光る盛り場や歓楽街と呼ばれる華やかな都市の風景が大好きな私としては大変ワクワクいたしました。そういった場所の醸し出す風情や、特有の哀愁がお好きな方にはぜひにとおすすめしたい一冊です。
大阪松竹座周辺の空気が懐かしく思い出されます。次に出かけることができる日を心待ちにしております。