歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【読書録】「平家物語 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」角川書店編

明日からは4連休がはじまりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

このすえひろはといえば、大阪や京都への遠征を夢見つつ過ごしております。

近ごろ読んだ書物のなかからおもしろかったものやお役に立ちそうなものを備忘録を兼ねてご紹介いたします。何らかのお役に立てればうれしく思います。

「平家物語 ビギナーズクラシックス 日本の古典」角川書店編

先月、平家物語のに入門に役立ったNHKテキストについてお話いたしました。

www.suehiroya-suehiro.com

 

このテキストからさらに内容を深めていくため、次に手にしてみたのが角川ソフィア文庫の平家物語 ビギナーズクラシックス 日本の古典(角川書店編)であります!

角川ソフィア文庫の「ビギナーズクラシックス」は、日本や中国の古典文学の内容を現代語でさらうことができ、解説もふんだん、かつ文庫本一冊にまとまっているというもの。古典文法への知識がなくとも読むことができる、まさにビギナーにやさしいシリーズです。

 

平家物語 ビギナーズクラシックス 日本の古典」の内容としましてはこのような流れでした。

・巻第一から巻第十二 全章段のあらすじ

・平家物語灌頂の巻 各章段のあらすじ

・解説

・平家物語探求情報(書籍・史跡・合戦記録など学習の手引き)

各章段のあらすじについては、それぞれ数行づつのペースで書かれており、時折、重要用語の解説や解釈のヒントなどが挟まれます。あっさりしていますがとにかく長い長い物語ですので、軽やかなペースで疲れずに読み進めることができます。

 

各巻の有名なエピソードについては原文と訳文が合わせて掲載されており、あらすじ把握後に原文の音読が推奨されています。その通りに原文部分を音読して読み進めてみたところ、確かに音のおもしろさが圧倒的で、さむらいたちが眼前で戦っているかのような感動を覚えました。

 

どっぷりと感情移入しながら読ませるつくりというよりは「全体像の把握」が重視されていて、中学高校時代に触れた参考書に近い味わいだと感じました。

私としては浄瑠璃等ですでに平家物語への感情移入をしてしまっているため、その印象といったん距離を置きクールかつ中立的な目線で全体像を把握したい…と望んでおりましたので、これはうってつけの一冊でありました。

同じような方がいらしたら、ぜひにとおすすめしたく思います!

 

とはいえ「いったん距離を置きクールかつ中立的な目線で…」などとえらそうなことを言いながら、安徳天皇の最期には涙し、知盛のカッコよさにしびれてしまったのは芝居好きの性であります。

この物語の魅力があればこそ素晴らしい浄瑠璃が生まれ、素晴らしい歌舞伎の舞台が生まれ、約1000年後の私が感動に震えているわけでして、先人たちへの尊敬の思いが何倍にも膨らみました。

 

平家物語、知れば知るほどおもしろく、深みにはまるようです。。

後半には現在読んでいる町田康氏の「ギケイキ」2巻で描かれている部分も登場してきて、なるほど頼朝義経の御仲不和はこうつながっていくのかとわかり、頭の中の源平絵巻がぐいぐいと広がりました。

次は古川日出男氏による完全訳「平家物語」か、岩波文庫の「平家物語」四巻組に挑戦しようかなと考えております。

古川日出男氏版はエピソード抜粋型ではなく「完全訳」で、なんと900ページもある本です。手元にすでに購入してありますが、まるで辞書のようであります。

対する岩波文庫は原文に注釈付きというもの。これは古典文法のおさらいも要すると思われるので、様々な方の視点を取り入れてから最後の最後に挑戦し、自分自身の読み解きの集大成としたいなあという品でもあるのです。

いずれを選ぶにしても果たして私などに読み切れるのだろうかと不安になってまいりましたが、読み終えた暁にはまた読書録として残したいと思います!

 

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