歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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一口1000円から寄付できる「くろごちゃんファンド」

先週の土曜日にようやく歌舞伎座も開場したものの感染拡大が続いており、再び劇場が閉じるようなことがないようにと願うばかりの日々であります。

こんな時に観客として伝統芸能に携わる方々のために何かできないものだろうか…と気を揉んでおりましたところ、昨日の読売新聞朝刊「紡ぐ」のコーナーにて「くろごちゃんファンド(国立劇場基金)」なる基金が設立されたことを初めて知りました!

くろごちゃんファンドとは

国立劇場でおなじみの黒子姿のキャラクター・くろごちゃんの名を冠したこの基金。

ざっくりと要約いたしますと、新型コロナウイルス感染防止措置のために半減する入場料では事業の採算が取れず、出演料・舞台演出費用などに影響が出かねないため、技術伝承の場として保つべき「公演の質」の維持を図るものだそうです。

設立されたのは5月末だったそうですが、恥ずかしながらこれまで情報をキャッチできず全く存じ上げませんで、結局は自分自身の主観と匙加減で情報を探っているウェブの不完全を実感しました。新聞というのはありがたいものだなとつくづく思います。

 

寄付は一口1000円から可能で、銀行振り込みとクレジットカード支払いから選べます。

詳細はこちらにありますのでご興味をお持ちの方はぜひチェックなさってみてはいかがでしょうか!

www.ntj.jac.go.jp

 

このファンドでは税制上の優遇措置が適用されるとのことで、私のようなフリーランスで仕事をしている者にとりましては、思いを寄せる場所に寄付をしながら所得控除も受けられるという大変ありがたい制度であります。

三月の国立小劇場「義経千本桜」のチケットなど、感染拡大防止で中止となった公演の払戻金も年間20万円まで寄付でき、すでに払い戻し手続きを終えてしまった場合でも申請で適用可能とのことです。

 

所得税控除額は寄付合計額から2,000円を引いた額の40%に当たる金額ですから、義経千本桜の全三部を寄付した場合は最大で1万円程度の所得税減税となります。新型コロナの影響で収入が減ったにも関わらず帳簿上の所得が上がってしまう場合もあるかと思いますので、これはなかなか大きい効果ではないでしょうか。

www.ntj.jac.go.jp

 

所要時間5分でサクッと寄付!

さっそくですが、このすえひろもオンラインでの寄付を試してみました。

クレジットカードを使用しましたので、必要事項をササッとフォームに入力するだけ5分程度で寄付が可能です!領収書等は2~3か月後に届くそうです。

 

おもしろいのはこのように選択肢が表示され、「寄付金の使途」を選ぶことができる点でありました。好きなジャンル・用途を選ぶことも、一任することも可能です。

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私などが寄付できるのは本当にわずかな額ですけれども、直接的にお役に立てるということがうれしくてなりません。

しかしながら、そもそも国立であるのに、伝統を守るための国からの補償はないのだろうか…と疑問にも思いました。

 

新聞内の日本芸術文化振興会 河村潤子理事長への取材記事によりますと、

劇場施設の維持は国費で賄われるが、出演料や大小道具など舞台の製作費、年間約20億円は主に入場料に依存している

とのことです。

 

このファンドではすでに1800万円超が集まっているそうですが、伝統芸能ファンの力だけで約半分のチケット減収を最低限支える年間約10億円規模を集めるのはかなり厳しいと思われ、やはりこうした状況では国からの支えが必要不可欠であると考えます。

ガイドラインに従い入場者数を半分にするにも関わらずのこの状況は見過ごすことができず、疑問を覚えます。COOL JAPANとは一体、なんだったのでしょうか。

 

これは余談ですが、前述の新聞記事にてくろごちゃんの紹介もなされており、

本名は「国立くろ五郎」

双子の兄弟「国立たま右衛門」は俳優の卵

という設定があるということを初めて知りました。

劇場で見かければ不躾にパシャパシャ写真を撮っていたのに、ご本人のことを何も存じ上げず…。劇場で再びお会いしたいものです。

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