歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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本日・歌舞伎座 九月大歌舞伎 千穐楽!2020年9月

本日、26日は歌舞伎座で上演されていた九月大歌舞伎の千穐楽でした!

おめでとうございます!!!このすえひろも今日は第三部「双蝶々曲輪日記 引窓」を再び拝見してまいりました!

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※写真は過去のものです

先日第四部「鷺娘」も拝見しました

引窓」はもうとにかく、お一人お一人の思いが胸に染み入るような素晴らしい舞台でボロボロと涙をこぼしてまいりました。。浄瑠璃の一語一句、三味線の一音一音が舞台の上のみなさまのお芝居と完全に融合し、客席にいる自分自身も物語の世界の中に引きこまれてしまうような時間、幕切れまで1秒1秒過ぎていくのが惜しくなるような体験は久しぶりでした。

吉右衛門さん、菊之助さん、雀右衛門さん、全員が素晴らしいのですが、やはりなんといっても東蔵さんのお幸が胸に迫り、特に「生きられるだけは生きてくれ」のセリフが突き刺さりました。こうした舞台を拝見しますと生きていて良かったと心から思います。

 

またマスクを付けたまま泣くと頬が湿ってしまって結構気になるものだというのも、この時勢ならではの発見でありました。涙がこぼれる前に早めに拭かねばならないのですね。しかし手をふいたハンカチで目元を触るのもなんだか心配ですから、涙用の清潔なハンカチも用意せねばなりません。

実際に芝居を見るまで感情がどう動くかわかずそれがおもしろいのに、泣く準備だけは万端にして劇場へ出かけなければならないというのはなんとも無粋であるなと思いますが、やむを得ません。

 

本日拝見したのは第三部でしたが、先日第四部「鷺娘」も拝見してまいりました!

鷺娘」は歌舞伎座さよなら公演の舞台映像と、実演の融合という特別公演です。さらに玉三郎さんによる口上とバックステージツアーもプラスされていて、このような状況にあって我々観客をどうにか楽しませようとしてくださる玉三郎さんの思いをひしひしと感じ、感動いたしました。

特に胸を打たれたのは歌舞伎座の舞台から見た客席の景色が、舞台一面に映し出されたさまであります。まさに玉三郎さんの半世紀以上に渡る視界そのものという光景です。その朱がかった赤一色の座席を拝見して、とてつもない美しさとともに孤独感を感じました。

建物は変われど近代の代々の歌舞伎役者たちが東銀座のこの赤い空間で観客の視線を浴びながら先人の芸を背負い、日々それぞれの芸を磨いてきたことを思うと、その道の途方もない奥深さにガーンと圧倒されてしまうような貴重な体験でした。

 

なにはともあれ、25日間の興行が2カ月続けて無事に執り行われ、いまだ関係者の方にも観客にも感染の報告がないというのは本当に素晴らしいことですね。

とはいえ感染はどこにでも起こりうることであり、いつどのように広がるか予想もつきませんので、私たち観客の側でも引き続き劇場へ出かける際は十分体調に注意せねばと思います!

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