新型コロナの外出自粛期間に始めた「Googleストリートビューで芝居の舞台となった場所とその周辺を訪ねてみる」という遊び。本日もひとつ訪ねてみようと思います。ゆるゆるとした旅ですがみなさまもぜひご一緒にいかがでしょうか。
昨日千穐楽を迎えたばかりの九月大歌舞伎にちなみまして、第三部「双蝶々曲輪日記 引窓」ゆかりの地をうろうろしてみたいと思います。行き当たりばったりのうえ、事情があり画像そのものを貼ることができず地図埋め込みとなりますが、何卒ご了承くださいませ。
前回: 連獅子 編
双蝶々曲輪日記 引窓とは
「双蝶々曲輪日記 引窓」は、恩人のために人を殺めてしまった力士の濡髪長五郎が、八幡の里に暮らす実母に一目会いたいと人目を忍んでやってくるのだが、実母には義理の息子・南与兵衛がおり、その与兵衛は長五郎を逮捕する任務を負ってしまっている、さあどうする…という物語。良き家族、良き人々がそれぞれの立場からそれぞれを思い合う、胸に染み入るあたたかなお芝居です。
さっそく行ってみましょう
与兵衛と義理の母のお幸、そして妻のお早が暮らす京都の八幡はこのあたりのようです。 京都市からは南の方角、大阪府の枚方市と隣り合う立地なのですね。大坂の相撲取りの濡髪長五郎とお幸が偶然に再会したことや、人目を忍んで駆けつけたことも特に不自然でない位置関係かと思います。
「引窓」といえば、仏教行事の「放生会(ほうじょうえ)」が大きなキーワードになっていました。捕まえた生き物を放してやり殺生を戒める放生会にことよせて、与兵衛が濡髪を逃がしてやるという幕切れでしたね。
「引窓」に出てくる放生会というのはちょうどこの地域にある石清水八幡宮ゆかりのものですから、まずはこの石清水八幡宮を見てから巡ってみたいところです。
こちらが石清水八幡宮であります。「国宝」とあるだけあって立派なようすです!
遠巻きですがバーチャルお参りをして旅に出たいと思います。
ここでは実に1000年以上にわたり、放生会の行事が執り行われているそうです。
今年は関係者のみで行われたそうですが、感染が落ち着いた際には見てみたいものだなあと思います。
石清水八幡宮を出ましたら、なにやら風情のある橋が現れました。
東高野街道といって、かつては高野山の参詣道であったそうです。広重の浮世絵に出てきそうな景色であります。
このあたりの土地は藪が多く暗かったということですが、現在も独特の静かなムードが漂っているように見えます。
広重といえば、これはまさに広重の東海道五十三次に出てくる走井の名物「走井餅」を売るお店ですね!
しかしここは走井ではないぞ…と思っておりましたら、明治年間にこちらの土地に移ったお店だそうです。餡を包んだ細長い餅、東海道の旅路のフィンガーフード的なものだったのでしょうか。いただいてみたいものです。
駅前の「エジソン通り」にたどり着きました。
なんとこの喫茶店キャンドルのあたりが、「引窓南邸跡」とされている石碑のある土地だそうです!なんとなんと
フィクションであるにせよ、こここそが引窓の舞台と考えて見物しに来た人々がたくさんいたということですね。昔から物語の聖地巡礼というのはお馴染みの楽しみであったということがわかり、親近感を覚えます。
こうして引きの角度から周りのようすを見ますと、鬱蒼とした木々も見え、それなりに南与兵衛の家にも見えてきます!!おおお
与兵衛家族がいとなむ喫茶店を妄想して興奮してまいりました…喫茶店キャンドル、いつの日か必ず参ります。