歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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歌舞伎座 第三部・第四部を見てきました! 2020年12月

先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして吉例顔見世大歌舞伎の第三部・第四部を拝見してまいりました。備忘録として少しばかり感想をしたためておきたいと思います。

東銀座の寂しさ

第三部は「一條大蔵譚

 

一條大蔵長成に白鸚さん、吉岡鬼次郎に芝翫さん、お京に壱太郎さん、そして常盤御前には魁春さんという配役です。みなさま素晴らしかったですが特に芝翫さんは豊国の浮世絵のようでうっとりといたしました。

今回は奥殿からということで一條大蔵卿の阿呆ぶりが示される桧垣の場面がありません。桧垣を含みますと長いですし、大道具などさまざまな要因からやむを得ないのであろうなと思われますが、初めての方にはおもしろポイントをキャッチするのがやや難しかったのではなかろうかと思います。

初めてでなくともやはり桧垣の一條大蔵卿を見たかったなあというところであり、いつかまた拝見できることを楽しみに待ちたいと思います!

 

第四部は「義経千本桜 川連法眼館

四の切の通称で知られる演目。今月は源九郎狐・佐藤忠信に獅童さん、義経に染五郎さん、静御前に莟玉さんという配役であります。獅童さんが超歌舞伎を長くお勤めになっていたり、染五郎さんと莟玉さんという若い世代に人気の麗しき方々がご出演されていることもあってか、客席がかなり若い印象で活気がありました。

四の切はもう様々な配役で何度も拝見しているのですが、これがなんだか不思議と今までに全く見たことのないような四の切で、内容とは関係なく感情そのものがドーンと揺り動かされるような体験でした。これはなんだろうなと調べてみますと、勘三郎さんからハートとパッションを教わったというインタビューに行き当たり、胸と目頭が熱くなりました…!

 

近ごろは「第一部&第二部」「第三部&第四部」という組み合わせで、これまでの昼の部と夜の部のような気分で芝居見物をするルーティーンが自分に馴染んできました。

出演なさっている役者さんのファン層や劇場へ出かけることの不安感も関係しているのかもしれませんが、実際のところ時間帯や曜日などによって、歌舞伎座のお客さんの数には割と差があるようです。それにともなってロビーや地下広場はもちろん、歌舞伎座周辺の活気の度合いにも差があるなと肌で感じます。

幕が閉まった途端に人の群れが勢いよく飛び出してきていた歌舞伎座前も、今ではとても静かです。人が減った芝居街というのはなんだか本当に寂しくて、歩いているとなんとなく気落ちしてしょんぼりしてしまいます。芝居だけでなく観客の気配もまた、歌舞伎座の晴れやかさを構成する要素だったのですね。

現在、劇場へ出かけることが叶わない方もたくさんおいでのことと思います。いつかまたあのような活気が戻り、皆様とわいわいと過ごせる日を心から願い、自分にできることに精一杯励んでまいります。

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