早いもので今月も今日でおわり…
つい先日千穐楽の感想にもしたためましたが、今月の芝居ではやはり吉右衛門さんの「俊寛」が目に焼き付いていて、今でも思い出すとガーンとしてしまうような重みが胸に残っています。
とにかく今月は芝居見物のほかにも、悲しいことや心配ごとなど本当にいろいろな出来事があり、ざわざわとしているうちあっという間に過ぎてしまったなあという思いです。
祈る、願うほかなす術なし
今月の中ごろにもたらされた坂田藤十郎さんの訃報が、後から後から悲しく寂しく、喪失感でいっぱいです。
歌舞伎に心酔し長く見れば見るほどにこうしたときの悲しさ寂しさが増していくのだろうかと途方に暮れています。しかし悲しさ寂しさばかりではなく感謝の思いもまたふつふつと湧いてくるもので、今後も自分自身の記憶に残像があり続けることのありがたさを感じます。
名優と呼ばれる方と自分自身の劇場で過ごす時間がかち合うというのは実は奇跡に近いことですよね。この先、新型コロナが奪う芝居の時が少しでも少なく済むよう願わずにはいられません。
また国立劇場では孝太郎さんの新型コロナ感染が発表され、22日から千穐楽までの上演が中止となるという出来事がありました。孝太郎さんが後遺症に苦しまれることなく、とにかく一日も早く回復され、舞台でのお元気な姿を拝見できますようにと全力で祈っています。
いつどなたが感染してもおかしくない状況のなか、いよいよ歌舞伎界にもこの禍が到来してしまったと、その恐ろしさを身近に感じて言葉にならないようなショックを受けました。
歌舞伎をはじめとする伝統芸能の世界は一般的な会社と比べご高齢の方が数多く現役の第一線で活躍されているものでもあり、重症化リスクの高さは否めません。現時点ではご共演の方や裏方の方々に感染が広がったという情報はなくひとまずは安心しておりますが、今後もどうか皆様ご無事であるようにと願うばかりです。
来月はすべての劇場で無事に千穐楽まで上演が行われると良いですね…
なんだか、祈る、願う、祈る、願う…と、日々漠然としたことばかりを書いてしまうことがやるせないのですが、もはやそれ以外になす術なしという状況であります。芝居の切符を買って楽しみに待つ以外、特に何もできないことが情けないです。
感染状況は日々悪化の一途を辿っているようで、果たしてこの先どうなってしまうのか、具体的策はあるのか、医療従事者の方々の悲痛な言葉や各社の決算情報などを拝見していると暗澹たる思いがします。
そんな社会においてなお芝居の幕を開け、生きる楽しみを届けてくださる方々への感謝の思いを忘れず、日々体調管理に励みたいと思います。
来月はどんな芝居が待っているのでしょうか。
楽しみに今夜は休みたいと思います。おやすみなさいませ。