歌舞伎ちゃん 二段目

『歌舞伎のある日常を!』 歌舞伎バカ一代、芳川末廣です。歌舞伎学会会員・国際浮世絵学会会員。2013年6月より毎日ブログを更新しております。 「歌舞伎が大好き!」という方や「歌舞伎を見てみたい!」という方のお役に立てればうれしく思います。 mail@suehiroya-suehiro.com

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【2020年12月歌舞伎座・南座で上演中!】やさしい傾城反魂香 まとめ

ただいま東京は歌舞伎座で開催中の十二月大歌舞伎第三部

そして京都は南座で開催中の吉例顔見世興行第一部にて同じ演目が上演されています!

近年たびたび上演されている「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」であります。

東西にてまったく同じ演目が上演されるというのもおもしろいものですね。このブログで過去にお話したものがたくさんありますので、今回初めてご覧になる方のお役に立てれば幸いです。

傾城反魂香とは

傾城反魂香(けいせいはんごんこう)は1708年(宝永5年)に大坂で人形浄瑠璃として初演され、11年後の1719年(享保4年)に歌舞伎として上演された、比較的古い演目。近松門左衛門の作品です。吃音症の又平が主人公ということで「吃又(どもまた)」という通称でも知られています。

まずは、本当に簡単に流れだけをまとめたあらすじがこちらです。もっと詳しくお話すべきことがたくさんありますので、機会を見てあらためてお話し直したいと思います。

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又平が目指す「御用絵師」とはなにか?

素晴らしい絵の才能を持ちながらも、お土産ものとして売られる絵を描くことで暮らしており、大きな功績を残すことができていない…というのが、この演目の主人公・浮世又平とおとく夫妻の大きな悲しみとして描かれています。言葉が不自由ゆえです。

そんな又平が心の底からなりたいと願う「御用絵師」の仕事とは、どれほど立派なものであったのかということをお話しております。

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又平が描いている「大津絵」とはなにか?

又平が生業としているのは江戸時代に人気のお土産ものとして売られていた絵をかくこと。「大津絵」と呼ばれているものです。確かに立派なお屋敷の襖絵などに比べると大きな差のつくお仕事ではありますが、今となっては「大津絵」も貴重な文化財として残されています。

浮世絵とはまたちがう「大津絵」というしなものについてお話した回がこちらです。

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日本画の流派「土佐派」「狩野派」

又平の師匠である絵師の土佐将監は、名前にも冠しているように「土佐派」と呼ばれる日本画の流派の絵師であります。

芝居の中にはもう一つの流派「狩野派」の狩野雅楽之助も登場します。

二つの流派にはいろいろと特徴がありますので、そちらについてお話いたしました。

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又平に元ネタらしき絵師あり

主人公の浮世又平後に土佐又平光起には元ネタと思しき絵師が2人いまして、それぞれについてお話した回をご紹介いたします。内容とはほぼ関係がありませんが、個人的にこれを知ったことで演目がよりおもしろくなったなあと思いましたので、ぜひお話したくなりました。

まず1人目は、又平が授かった名前そのままの土佐光起です。日本画の歴史を変えた偉大なる絵師であります。

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 そしてもう一人が、まさしく「浮世又兵衛」と呼ばれていたという奇想の絵師・岩佐又兵衛であります。この方は世界中で高く評価され、西洋絵画の歴史をも動かした「浮世絵」の祖、また大津絵の祖とも言われています。芝居のようなドラマチックな人生を歩まれた方で興味深い存在です。

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南座では鴈治郎さんと扇雀さんが、歌舞伎座では勘九郎さんと猿之助さんが、それぞれ又平おとく夫婦をお勤めになります!東西ともに楽しみな配役ですね!

公演の詳細

www.kabuki-bito.jp

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