東京では感染拡大に歯止めがかからず近く首都圏に緊急事態宣言が発出される運びとなったようですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。このすえひろはといえば、おかげさまでなんとか風邪もひかずに過ごすことができております。
このような状況では歌舞伎座をはじめ首都圏の劇場で、今後の日程の公演が無事に行われるのかがとても心配ですね…。今回の緊急事態宣言では学校は休校にならず映画館や劇場なども休業要請を受けない見通しではあるようです。
確かに劇場や映画館は基本的に静かに過ごす場所ですし、歌舞伎座はじめ慎重に対策なさっている印象を強く受けます。しかし感染経路不明の方が半分以上という状況のなか、飲食店の方々を20時閉店という苦しい状況に置くだけで本当に短期間のうちに減少に転じさせることができるとなどと考えているのか、一体どんな意味のある宣言なのか、個人的には疑問を感じます。
だらだらといつまでも感染が拡大しつづけて医療現場に負担がかかりつづけ、劇場も休業せざるを得ない空気が醸成されて公演中止となるが、劇場は休業要請対象ではないため補償はない…というような流れに万が一なってしまったとしたら、それはもう本当に許しがたいことで、想像しただけで憤りを覚えます。決してそうはならないよう願っています。休業要請が出ない以上はぜひ上演を続けていただきたいです。
さて、先日のお話ですが、歌舞伎座へ出かけまして今年の初芝居を拝見してまいりました!備忘録として少しばかり感想をしたためたいと思います。
太夫の掛け合いで新鮮な七段目
今回拝見したのは第二部と第三部です!
第二部は伊左衛門に雁治郎さん、夕霧に扇雀さんの「夕霧名残の正月」
由良之助に吉右衛門さん、おかるに雀右衛門さん、平右衛門に梅玉さんの「仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場」
という狂言立てであります。
どちらも京都を舞台とした柔らかな雰囲気の漂う演目で、東京にいながらにして京都の冬を感じられるようでした。劇場だからこそ味わえる非日常の香りがうれしいです。
「夕霧名残の正月」は昨年お亡くなりになった藤十郎さんを偲ぶ演目で、ご子息の鴈治郎さんと扇雀さんが有名なカップルをお勤めになりました。お二人のご様子から藤十郎さんのたたずまいを思い出し、なんとも懐かしく思われました。
「祇園一力茶屋の場」はやはり吉右衛門さんの由良之助にしびれました…!お加減が少し心配でしたが私のなかのさむらい心がびりびりとしびれるようです。
今回は上演時間の短縮で九太夫と伴内のやりとりのくだりからの上演で、個人的に大好きな力弥と由良之助のやりとりがなくなってしまっていたのが残念です。ぜひまた完全版で吉右衛門さんの由良之助を拝見したいと切望しております。
また今回は竹本の太夫が3人(確か)床にいらして、由良之助・平右衛門・おかる・九太夫と掛け合いで語られていたのが驚きでした!文楽のような少し違うような味わいが新鮮でとてもおもしろかったです。
「夕霧名残の正月」も役者さんがたくさん舞台の上にいらしてワクワクとしました。厳しい状況のなか一人でも多くの方に出演を、という取り組みなのかもしれませんね!
客席はシンとしていますけれども、舞台のにぎにぎしさ華やかさがとてもうれしかったです。しあわせな初芝居でした。
長くなりましたので第三部についてはまた改めてお話したいと思います!